1975年に放送を開始した『秘密戦隊ゴレンジャー』を第1作とする「スーパー戦隊シリーズ」第45作『機界戦隊ゼンカイジャー』(毎週日曜朝9:30よりテレビ朝日系全国ネットで放送中)の主題歌「全力全開!ゼンカイジャー」が特撮ファンの間で話題を集めている。
「全力全開!ゼンカイジャー」のシンガーに抜擢されたのは、かつて『ウルトラマンダイナ』(1997年)でウルトラマンダイナに変身するアスカ・シン隊員を演じ、バラエティ番組やCMでも活躍しているつるの剛士。歌手としても数々の実績を残しているつるのが、まさに全力全開で熱唱する主題歌のパワフルさが、力強いゼンカイジャーのヒーロー像と見事にマッチして、非常によい評判を取っている。
そして、45作目を迎えたスーパー戦隊シリーズを祝す意味で、「全力全開!ゼンカイジャー」の歌詞(作詩:マイクスギヤマ)には『秘密戦隊ゴレンジャー』から第44作『魔進戦隊キラメイジャー』(2020年)まで、すべての"スーパー戦隊"におけるキーワードが込められていることが明らかにされ、熱心なスーパー戦隊ファンの探求心を強烈に刺激した。
また『ゼンカイジャー』では、『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)、『ジャッカー電撃隊』(1977年)、『バトルフィーバーJ』(1979年)、『電子戦隊デンジマン』(1980年)、『太陽戦隊サンバルカン』(1981年)、『大戦隊ゴーグルファイブ』(1982年)で主題歌とBGMを手がけ、その後もスーパー戦隊シリーズでの挿入歌作曲で活躍した"アニメ・特撮音楽のレジェンド"渡辺宙明氏が、ひさびさにBGMを手がける(大石憲一郎と共同)ことが特撮ファンの歓喜と興奮を呼んだ。
渡辺氏はさらに、巨大ロボット「ゼンカイオー ジュラガオーン」のテーマ曲となる「全界合体!ジュラガオーン」を作曲しており、これを『ゴレンジャー』主題歌「進め!ゴレンジャー」のささきいさお、堀江美都子コンビがデュエットで歌うというのも、うれしいニュースとなった。
「全力全開!ゼンカイジャー」と「全界合体!ジュラガオーン」を収録したCDの発売(4月7日)を記念して、11日に無観客・生配信にて「ストリームwith:『機界戦隊ゼンカイジャー』主題歌発売記念イベント」が開催された。ステージにはつるの剛士、ささきいさお、堀江美都子、そしてゼンカイザーが登場し、『ゼンカイジャー』および『ゴレンジャー』の主題歌にまつわる貴重なトークや、スペシャルライブを披露。スーパー戦隊ファンの血を熱くたぎらせた。
マイナビニュースでは、熱気に満ちた配信イベントを終えたばかりの3人に独占インタビューを敢行。つるのが「全力全開!ゼンカイジャー」をステージでフルコーラス歌った感想や、ささき・堀江コンビが『ゴレンジャー』放送開始から46年という年月を経て、最新作で"スーパー戦隊"ソングを歌うことへの思いを訊いた。
――さきほどイベントで「全力全開!ゼンカイジャー」をフルコーラス熱唱されたつるのさんにお尋ねします。今回の曲を歌われる際、どんな部分に力を入れられましたか。
つるの:なんといっても、ゼンカイジャーがスーパー戦隊シリーズ第45作を記念した作品だというところですね。僕は第1作の『秘密戦隊ゴレンジャー』と同じく1975年に生まれまして、いま5人の子どもの父親なんです。高校時代は東映東京撮影所の近くに住んでいましたし、スーパー戦隊シリーズにはすごく親しみを感じています。加えて、日曜の朝スーパー戦隊を応援してくれる"子どもたち"への強い思いもあります。今はコロナ禍の影響もあって、子どもたちが集まってワイワイと楽しむことができない状況です。そんな中でも、ヒーローを愛するみんなが元気になってほしいと思って、この主題歌を全力全開で歌おう!と誓ったんです。フルコーラスを生で歌ったのは初めてでしたが、歌い終わったらもう汗で全身ビショビショ。これからもどんどん歌っていきますから、スタミナをつけるために肉食中心でいこうと決めています(笑)。
――お隣にいらっしゃる、ささきいさおさん、堀江美都子さんがデュエットで歌われた『秘密戦隊ゴレンジャー』主題歌「進め!ゴレンジャー」をお聴きになった感想はいかがでしたか。
つるの:お2人の力強い歌声を聴いたとたん、背筋がビシッと伸びました。さすがはレジェンドのお2人だと、ありがたく聴かせていただきました。幼いころからささきさん、堀江さんの歌を聴いて育っていますからね。もう自分のDNAにお2人の歌が刻み込まれていると思っています。みなぎるパワーを間近で感じて、なんともいえない高揚感がありました!
――ささきさん、堀江さんは、つるのさんのご感想を聞かれてどう思われましたか?
ささき:つるのくんのことは以前から知っていましたが、まさか同じ作品の歌を歌う仲間同士になれるなんて、思いもしなかったですよ。『ゴレンジャー』放送の年に生まれたと聞いて、僕としては「長くこの仕事をやってきた甲斐があった。本当によかったな」と思いました。
堀江:いさおさんとつるのくんは、イベント本番のトークやアフタートークでずっと"釣り"の話で盛り上がっていましたね(笑)。
ささき:そうそう。僕もつるのくんも釣りが大好きだからさ(笑)。いい機会だから、僕がアニソン歌手仲間と作っている「アニソン釣り部」に加わってもらおうと思ってるんです。
つるの:ありがとうございます! うれしいです!
――ささきさん、堀江さんの「進め!ゴレンジャー」そしてささきさんソロの「秘密戦隊ゴレンジャー」(エンディングテーマ)を聴かせていただきましたが、お2人の歌声が放送当時からまったく変わらず、むしろライブで聴くことができた分、以前よりもパワーアップしている印象がありました。
ささき:歌というものは「今日はこの手でいこう」とか「こんな感じでやろう」なんて事前に考えたりしないんですよ。常にその時その時、体当たりで挑むしかない。一曲にすべてをかけるくらいのパワーが主題歌を歌うときには必要なんです。「進め!ゴレンジャー」の場合はミッチ(堀江)とのデュエットですから、お互いに助け合いながら歌えるところもずいぶん大きいですけどね。
堀江:世の中にいろいろな歌がありますけど、アニメや特撮ヒーローの主題歌って、その中でも独特な世界なんですよね。30年前、40年前に歌った曲のイメージを、今でもずっと大事にしてくださる人たちがたくさんいます。ファンの方たちの大切な思い出をそのままの形でお届けするためには、私たちの歌い方や声の出し方もあまり変化させないように……と心がけています。
ささき:経験値や熟練度に合わせて、歌い方を変えていく……みたいなやり方をしていないんだよね。
堀江:歌い続けていると、自然に変化していっちゃいますから、私たち自身が意識して変わらないように日々調整していかなければいけません。そうすることで、何十年経っても同じ声、同じ歌だなって思っていただけるんです。
つるの:すごい境地ですね! 何十年と歌い続けて来られた大先輩ならではの重みを感じます。
ささき:月日とともに、歌い方ってどんどん変化するものだから、変化のままに歌うのはわりと楽であり、簡単だと思うんだよね。でも、昔と変わらないって言ってもらえるためには、時代を越えるパワーがないといけないのかなって。
堀江:いさおさんはその点、すごいですよ。隣にいても勢いがこちらに伝わってきますからね。私も負けちゃいけない!と思い、自然に力が入りました。