TSMC本社近くの新竹科学工業園区にある同社Fab 12B P6(第6期拡張ライン)で3月31日午前9時過ぎ、火災が発生した模様である。

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    火災が発生したTSMCのFab 12B (出所:TSMC)

出火元はクリーンルーム外の変電施設の配電盤の電気回路と見られ、何らかの原因で過電流が流れ配線が短絡して出火した模様である。

過電流による発火という点で、3月19日に起こったルネサス エレクトロニクスの那珂工場N3棟1階の火災の原因と、製造装置と変電設備の違いはあるもののきわめて類似したものといえる。

二酸化炭素による消火システムがすぐ作動したため、消防車が到着する前に火は消えたというが、建物には白煙が立ち込め、外部に排出処置が行われたという。この火災に伴い、下請け業者の従業員1人が過剰な二酸化炭素の吸入により病院に搬送された。

火災発生の第一報以降、台湾メディア各紙による続報はないことから、4月2日時点の段階では半導体の生産には支障はないものと見られるが、TSMCからの正式発表は行われていないため、実際の被害の程度は不明である。ちなみに本社直属のFab 12Bでは、研究開発ならびに先端デバイスの試作が行われているという。

2020年10月に旭化成マイクロエレクトロ二クス(宮崎県延岡市)の200mm半導体工場、2021年3月19日にはルネサス エレクトロニクス那珂工場の300mm製造棟、そして今回のTSMCのFab12Bと半導体工場での火災が立て続けに起こって目立つようになってきた。ルネサスは3~4カ月程度で火災前の生産能力への復旧を目指しているが、旭化成の場合は焼失の度合いが酷いため、ついに復旧を断念し、建て替えや他拠点での工場新設などを検討するとしている。