女優の名取裕子が、俳優の沢村一樹が主演を務めるテレビ朝日系スペシャルドラマ『東京地検の男』(24日 20:00~21:48)に出演することが8日、明らかになった。

  • 左から市川猿之助、沢村一樹、名取裕子=テレビ朝日提供

正義感は強いが少し変わり者、スーパー出身の庶民派検事・東丸信助(沢村)が、絶対に諦めない執念で事件の真相を追い求める姿を描く本作。人気ドラマシリーズ『京都地検の女』で、“主婦の勘”をもとに難事件を解決に導く検事・鶴丸あやを演じた名取だが、本作では、女性初の検事長の座を狙う東京地検の刑事部長・剣崎亮子役として出演する。

名取のアイデアがふんだんに散りばめられた剣崎の執務室は、検察庁という巨大組織の中で、男性に混ざってトップを目指す剣崎をイメージできるアイテムがあちこちに登場。「お花を切ったり、お抹茶を点てたりするのもメタファーになるんじゃない?」という名取の提案で、急きょ特捜部のエリート検事・三枝浩一(市川猿之助)がお茶を点てるカットも追加された。

歌舞伎の大ファンだという名取は「猿之助さんとご一緒できるのをすごく楽しみにしていたんですけど、期待を裏切らない面白さでしたね!『こんなにやってもらっていいの!?』というくらい、予想をはるかに超えるいろんなことをしてくださいました(笑)」と、市川を絶賛した。

名取、沢村、市川のコメントは以下の通り。

■名取裕子

――演じるうえで意識したことは。

私は、『京都地検の女』で鶴丸あやという検事の役をずいぶん長い間やってきました。今回、制作陣が同じということもあって、「主婦の勘」という鶴丸のセリフも脚本に取り入れていただきました(笑)。

剣崎は鶴丸とはずいぶん違って、組織を大元から正したいと思っている人です。最初は、東丸の敵なのか味方なのかわからない感じなので、そのひと癖も二癖もありそうな感じが、鶴丸のように被疑者の視点をもっている正義の人……とはまた違う。たぶん相当痛い目に遭って、「自分の思想を貫くためには偉くならなきゃダメだ」と身に染みて感じた人なんだと思います。政界との繋がりを重視する上司に仕えながら、東丸のような“普通の”視点をもった人を擁護していこうとも考えている、多くの挫折を経験して“力が欲しい”と思った人なんだろうなと思いました。「やりたいことをやるには偉くなるしかない!」という気持ちで、頑張っている人を救おうとする剣崎は、演じていてとても楽しいキャラクターでした。

――沢村との共演について。

沢村さんとは16年くらい前の『年下のひと』というドラマで恋人役をやらせていただきました。その時もいろんな話をして大笑いしていた思い出があるんですが、久しぶりにお会いしても全然変わっていなかったですね。その後も沢村さんの作品はずっと観ていたんですが、どんどんいい味が出てきたなぁと思っていました。今回の東丸はちょっと“男・鶴丸あや”っぽいですよね、「主夫の勘」みたいな(笑)。キリッとした役もいいですが、のほほんとした沢村さんも面白いなと思いました。

――視聴者へメッセージを。

観た方が、「自分たちもこういうことができるんじゃないか……」と思える力をくれる、ドラマって本来そういうものだと思うんです。この作品も、ニュースで話題になっていることや、私たちが実際に憤りを感じていることを上手く取り入れて、「こんな風に解決してくれたらいいな」「こんな検事がいたらいいな」と思えるような、夢や希望を与えてくれるドラマになっていると思います。

コロナだけでなく、いろいろなことでみんなが閉塞感を抱えている今、このドラマを観ている間だけでもスカッとした気分になって、留飲を下げて楽しんでいただければと思います。立場の弱い人たちが報われる……そういう世の中であってほしいという願いも込めて、前向きな気持ちになれる作品だと思いますので、ぜひドラマの醍醐味を味わってください!

■沢村一樹

――名取との共演について。

名取さんとは『年下のひと』という作品以来、16年ぶりくらいの共演なんです。ずいぶん前の作品なんですが、大変だったけどとても楽しかったので、すごく鮮明に覚えているんですよ。その時に名取さんと初めてお会いして、そこから一度もお会いすることなく、今回ついに、ご一緒することができました。

名取さんも僕と同じくらい当時のことを鮮明に覚えていらっしゃるようで、お互い久しぶりだったのに、まったくそんな感じがしなかったですね。

とても気配りをしてくださる一方で、本当にあっけらかんと「私、天然だから!」と言っちゃうような方なので、実は名取さんご本人と、僕が演じる東丸のキャラクターが少し似ているな、と思っていました。長年『京都地検の女』で主演を張られた名取さんと、この『東京地検の男』でご一緒できて光栄です!

■市川猿之助

――名取との共演について。

最近、名取さんとはよくクイズ番組でご一緒しますし、本当に気さくな方なので、撮影現場も和気あいあいとしていて、とても楽しかったです。

実は、名取さんとご一緒するシーンで、いきなり「お茶を点てて」と言われて、急きょ点てることになりました。あれが名取さんのアイデアだったとは(笑)! でもそういう風に、現場で出てきたアイデアで脚本が膨らんでいき、監督もそれを取り入れてくださる……その肉付けで面白い作品になったと思います。