「有象無象」という四字熟語の意味を知っていますか。曲の歌詞や、何かの本のタイトルで見たことがあるという方もいるのではないでしょうか。
音楽や書籍で文字を目にすることはあっても、実際に会話の中で使う機会は少ないかもしれません。しかし、意味をしっかり理解できれば、ビジネスの場でも表現のひとつとして使える言葉です。この記事では、有象無象の意味や使用例、類語や英語表現を紹介します。
有象無象の意味とは
有象無象とは、「取るに足らない人間や物が多く集まっている」という意味で使われる言葉です。「沢山あってつまらない、くだらない」といった状況などを言い表したいときに使います。
有象無象には特筆する対義語はありません。少数精鋭や非凡などが意味の近い反意語とされていますが、明確には違います。
読み方は「うぞうむぞう」
有象無象は、読み間違いに注意したい言葉の一つ。正しい読み方は「うぞうむぞう」です。「ゆうしょうむしょう」と読み間違えるケースが非常に多いので気をつけましょう。また、漢字の書き間違いにも注意してください。
有象無象の語源
有象無象は、仏教用語の「有相無相」が語源で、これが派生して「有象無象」になったと言われています。有相無相は人や物に関わらず、この世に存在する全てを指す用語として使われる言葉です。
有象無象の使い方・例文
有象無象はビジネスの場でも使える言葉です。しかし、使う状況によっては失礼な表現と解釈されてしまうこともあるので、注意が必要です。では、どのような使い方が適しているのでしょうか。
ここからは、例文とともに有象無象の使い方を紹介して行きます。正しい使い方ができると、表現の幅もグンと広がりますので、ビジネスシーンに役立てていきましょう。
良い印象がない場合
良い印象がないことを示す場合の有象無象の使い方を紹介します。
<例文>
- 有象無象どもが集まったところで良い案は出ない。
- どれも有象無象で、目をひくものはありませんね。
有象無象は、基本的には悪いイメージで使われる言葉です。自分より目上の人に向かって使うのはおすすめできません。
皮肉として使われる場合
皮肉として有象無象を使う場合の使用例を紹介します。
<例文>
- 有象無象の区別なく目を通していただけると幸いです。
- 有象無象と思われないように他の会社との差別化を図りました。
有象無象のネガティブなイメージを皮肉めいて使うことで、アピールする使い方です。肯定的にとらえないように注意しましょう。
有象無象の類語
言い回しは違っていても、有象無象の類語となる言葉は幾つか存在します。とはいえ、言葉によって相手が受け取るニュアンスも変わるので、意味を十分理解して使うようにしましょう。
烏合の衆
烏合の衆は、「カラスの群れのような、ただ集まっているだけの統一性もない状態」を表すことわざです。「うごうのしゅう」と読みます。
中国の歴史書で、武器を手にした農民を「烏合の衆」と表現する言葉があります。「規律もなく集まっただけの連中」と見下す意味で使われています。
森羅万象
森羅万象は、「この世に存在する形のあるもの全て」を表す四字熟語です。一般的には「しんらばんしょう」と読みますが、万象は「まんぞう」「ばんぞう」とも読まれます。有象無象の現代で使われる意味ではなく、由来となった有相無相の同義語です。
有情非情
有情非情は、仏教用語で「感情の有無を問わずこの世に存在する全ての物」を示す言葉です。「うじょうひじょう」と読みます。非情という単語は、冷たい人間を指す表現としても使われ、感情が無いものを表したことが成り立ちです。有相無相の同義語となります。
諸事万端
諸事万端は、「様々な全てのこと」を表す言葉として使う四字熟語です。「しょじばんたん」と読みます。
「諸事」は様々を意味し、「万端」は様々なものの全てを意味します。「準備万端」という言葉もありますが、同じような使い方で「諸事万端整った」と表現できるビジネス用語です。
有象無象の英語表現
有象無象は英語で何と言うのでしょうか。有象無象という文字を直訳すると「Elephant and non-elephant」になりますが、当然ながらこれは、本来の意味とは全く違う短文です。ビジネスシーンでも使えるよう、有象無象の英語表現を紹介します。
the ragtag and bobtail
the ragtag and bobtailは、「下層の人間」「社会的価値が低い」「野次馬」などを意味する言葉で、烏合の衆の英語訳として用いられることが多いです。
また、ragtagだけでも有象無象という意味で使用できます。bobtailは名詞で「切り尾の馬」や「短い尾」という意味です。
the mob
the mobは、下層の人間が多く集まったことを軽蔑的に指す意味で使われる言葉です。また、暴徒化した人々に対しても使われます。
mob単体では、「集団または犯罪グループ」という意味です。漫画やアニメ、ゲームなどで、その他大勢にカウントされる人物をモブキャラと表現します。
the rabble
the rabbleは、有象無象の英語訳として使われます。「rabble」は下層の人間や群衆を意味する単語です。
有象無象の意味を覚えて正しく使おう
有象無象はビジネスの場でも使える言葉ですが、蔑みの意味を持つ四字熟語なため、使い方によっては失礼となる場合があります。また、仏教用語からきた有象無象という表現の意味としての使い方は、現代では一般的ではありません。
それでも、韻を踏んでいる言葉のため日本語としての語呂が良く、歌詞などに使われることが多い表現です。有象無象の意味を理解して、会話の中で適切に使えるようになれば、ビジネスシーンでも大いに役立つでしょう。