永瀬王座はカド番をしのいで1勝3敗。1日目でリードを奪い、そのまま押し切った
将棋のタイトル戦、第70期王将戦七番勝負(主催:スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社)の第4局、▲永瀬拓矢王座-△渡辺明王将戦が2月13、14日に東京都「SORANO HOTEL」で行われました。結果はここまで3連敗で後のない永瀬王座が113手で勝利し、待望の初白星を挙げました。
角換わりの出だしから角道を閉じる少し珍しい序盤作戦を採った永瀬王座。「用意の作戦だった」と終局後に語っています。その後、後手の渡辺王将が雁木に組んだのに対し、永瀬王座は矢倉を構築しました。
1日目の昼休前後で積極的に仕掛けていったのは渡辺王将。しかし、この仕掛けがまずかったようです。「昼休明けくらいの攻め方がおかしかった。早い段階でダメにしてしまった」と局後に渡辺王将が語ったように、この無理気味な攻めに対する永瀬王座の対応が的確でした。相手の手に乗じて厚みを構築。そして駒を蓄え、妙手を繰り出して優位を不動のものとしました。
それが相手の銀の利きに打ち込んだ桂捨ての一手。この桂を取ると、十字飛車が決まります。「▲4四桂はうっかりした」と渡辺王将。やむなく桂銀交換の駒損に甘んじましたが、飛車をさばかれて形勢はさらに開きました。
優勢になってからの永瀬王座の指し回しは、万が一にも逆転は許さないという手堅いもの。永瀬王座にこのような展開に持ち込まれては、流石の渡辺王将でも逆転は不可能でした。渡辺王将は永瀬玉にあと一歩まで迫ったところで、自玉を即詰みに打ち取られて投了となりました。
勝利した永瀬王座は今シリーズ待望の初白星。タイトル奪取には3連勝が必要ですが、まずはほっと一息と言ったところでしょう。また、対渡辺王将戦の連敗も7で止めることができました。次局へ向けては「一局でも多く教えていただけるよう、精一杯準備して頑張りたいと思います。(次は)後手番ですので、少しでもいい準備をしていい内容の将棋を指したいです」と語りました。
一方、珍しく完敗を喫した渡辺王将は「(次局は)内容がある将棋を指さなければいけない」と気を引き締めました。
王将戦七番勝負第5局は3月1、2日に佐賀県「大幸園」で行われます。渡辺王将はその前の20日に、王将戦と並行して戦っている棋王戦五番勝負の第2局の対局も控えています。