ヨーロッパで最も売れているSUVのルノー「キャプチャー」。日本では2021年2月25日にフルモデルチェンジを経た新型が発売となる。ヨーロッパで大人気な割に日本ではあまり見かけないクルマだが、今度の新型では日本のユーザーが重視する「ある装備」を充実させたそうだ。
欧州No.1のSUVを日本であまり見かけない理由
キャプチャーは2013年の発売以来、世界で累計170万台以上を売ったルノーのヒット作。ルノー・ジャポンによると、2020年の欧州における販売台数は全車種の中で第7位、SUVの中では第1位という成績だったという。今回のフルモデルチェンジでは、デザイン、プラットフォーム、パワートレインの全てを一新。日本で販売するグレードは「インテンス」(299万円)と「インテンス テックパック」(319万円)の2種類だ。
新型キャプチャーはルノーのコンパクトカー「ルーテシア」と同じプラットフォームを使用する「コンパクトSUV」だ。この分野は世界的に人気で、日本で買える競合車を見ると、輸入車ではプジョー「2008」、フォルクスワーゲン「Tクロス」、ジープ「レネゲード」、国産車ではトヨタ自動車「ヤリスクロス」、日産自動車「キックス」、マツダ「CX-30」など強敵がそろっている。
ルノーでは個性派ぞろいの小型SUV市場で埋没しないよう、新型キャプチャーを先代に比べて押しが強く、よりSUV的で、キャラクターのはっきりしたデザインとしたそう。インテリアには、ドライバーが運転に集中できる「スマートコックピット」を採用。パネルやスイッチ類に角度を付けて、運転席からの視認性と操作性を高めてある。
パワートレインは1.3Lの直噴ターボエンジン。排気量はルーテシアと同じだが、最高出力は154馬力、最大トルクは270Nmでルーテシアよりもパワフルだ。車両重量をトルクで割ってもとめる「トルクウェイトレシオ」は同クラスでトップクラスとのこと。つまり、軽い車体に力強いエンジンを積んだクルマということだ。
このキャプチャー、あまり日本では見かけないと思ったら、ルノー・ジャポンによれば先代(の特にモデルライフ後半)は日本市場で苦戦を強いられていたそうだ。というのも、発売当時はコンパクトSUVというクルマ自体が珍しい存在で、競合もほとんどいなかったため日本でもそこそこ売れたそうだが、その後は日本勢も含めライバルが続々と登場。さらにいえば、日本市場で顧客が重視する「先進運転支援装備」が、先代キャプチャーの日本導入モデルにはほとんど付いていなかったそうだ。
その点、新型キャプチャーは運転支援装備にも抜かりがない。先進の運転・駐車支援システム「ルノー イージードライブ」が両グレードに標準装備となっているのだ。システムの中身は「360度カメラ」「オートハイ/ロービーム」「パーキングセンサー」「衝突被害軽減ブレーキ」など。上位グレードにはレーンセンタリングアシスト機能が付いているので、高速道路などではレベル2相当の自動運転(ハイウェイ&トラフィックジャムアシスト:設定速度あるいは先行車に合わせて加速、減速、停止を行ってくれて、車線もキープしてくれる機能)が可能だ。
日本の自動車市場で戦ううえで重要な装備を手にし、商品競争力が高まった印象の新型キャプチャー。ルノー・ジャポン広報は「一通りは何でも付いている間口の広いクルマになったので、売れてくれるかなと思っています」と話していた。