日経HRはこのほど、「中途採用に関する調査」の結果を発表した。同調査は2020年12月9日~18日、転職エージェント(人材紹介会社)75人(40社)を対象に、インターネットで実施した。
2021年の中途採用求人件数の予想を聞くと、「大幅に増えると思う」(2.7%)と「少し増えると思う」(50.7%)を合わせた「増える」は約5割だった。「増える」とした理由は「既存事業が厳しくとも、新規事業に対して重きを置くようになると考えるため」「20年に採用控えをした企業も、業績が回復、または見通しができそうな場合は徐々に採用が増えると思うから」などだった。
中長期では「大幅に増えると思う」が17.3%、「少し増えると思う」が56.0%で、「増える」は約7割となり、21年に比べ2割増えている。「増える」とした理由としては、「ビジネスの形態を変える企業が多いと推測され、その場合社内教育では追い付かないことから、採用活動が増加するから」「平均勤続年数が短くなることから、中途採用が増加するため」などが挙げられた。
21年企業の選考基準について聞くと、「少し厳しくなる」が52.0%、「厳しくなる」が14.7%で、合わせると約7割が「厳しい」と考えていることがわかった。「厳しくなる」と回答した理由は、「役員などの経営者が面接官を務める最終面接の経過基準が厳しいまま推移するため」「採用意欲が高い優良企業には応募者が殺到するため、より良い人を慎重に採用する傾向が強くなると思われるため」などだった。
2021年の中途採用の求人件数が増えると回答した人に、求人件数が特に増えるとみている業界について尋ねたところ、「IT・通信・インターネット」(72.5%)が圧倒的に多かった。さまざまな業界、企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが加速する中、DXを支援する業界はさらに活況は続き、求人件数も増えると予想している。
2021年に求人件数が特に増えるとみている職種について聞くと、「IT・Web・ネットワークエンジニア」(62.5%)が最も多く、「企画・マーケティング」(30.0%)が続いた。
2021年、特に求人需要が高まりそうな人材のキーワードについて尋ねると、「DX」(64%)が最も多く、「即戦力」(50.7%)、「IT」(44.0%)が続いた。企業の女性活用推進やM&Aの増加が背景にあるためか、「女性管理職」(13.3%)、「M&A」(13.3%)という回答も10%強見られた。
転職希望者数はどう変化したかについて聞くと、最も多い回答は「変わらない」(30.7%)で、「少し増えた」(21.3%)、「減ったが元に戻った」(13.3%)と続いた。求人件数の変化については、「少し減った」(30.7%)、「大幅に減った」(26.7%)が目立つ。
求人件数の落ち込みが大きかった業界は、外出自粛や営業時間短縮などの影響を大きく受けた「サービス」に回答が集中した。そのほか、製造業の「機械・メカトロニクス」(25.3%)、「電気・電子・半導体」(24.0%)、人員削減が進む「金融」(24.0%)と回答した人も目立った。
求人件数の落ち込みが大きかった業界は、「販売・サービス」(56.0%)が最も多かった。「事務、アシスタント、秘書」「管理部門」(各33.3%)、「営業」(32.0%)の落ち込みも大きい。