「端緒」という言葉をご存知でしょうか。見たことはあるけれど意味が分からなかったり、それぞれの漢字は知っていても、熟語でどう読むのかは分からなかったりする方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「端緒」という言葉の意味と使い方、類語との使い分け方などを解説します。日常会話で使用することは少ない言葉ですが、文章の中では目にする言葉なので、意味を理解してビジネスシーンで正しく使えるようになりましょう。
端緒の意味
端緒とは、物事の始まり、糸口、手がかりという意味です。正しい読み方は「たんしょ」。「たんちょ」と読む場合もありますが、これは慣用読みであり、誤った読み方となります。
端緒の使い方・例文
端緒を使用する際の例文をいくつか紹介します。定型文として使用されることが多いため、覚えておくと便利です。
端緒として
「発端として」や「きっかけとして」という意味で使用されます。
「コロナの流行を端緒として、リモートワークやリモート会議が普及しました」「その出来事を端緒として、解決の糸口が見えました」などの使い方ができます。
端緒となる
「きっかけになる」という意味で使われます。
「事件の端緒となった出来事は、私が子供の頃に起こりました」「私が怪我をした端緒となる事件は、些細なすれ違いから始まりました」などの使い方ができます。
端緒につく
「軌道に乗り始める」という意味で使用されます。
「この事業は、やっと端緒についたばかりです」などの使い方ができます。
端緒をつかむ
「手がかりをつかむ」「糸口をつかむ」といった意味で使用されます。
「彼がとった行動の意味の端緒をつかむために、私は彼の実家に向かった」「関係改善を進める端緒をつかめたのは、あなたの意見があったからです」などの使い方ができます。
端緒の類語
ここからは、端緒の類語を紹介します。類語ではありますが、異なる意味を含む場合もありますので、正しく理解して使い分けられるようにしておきましょう。
類語を知ることで表現力が豊かになり、シーンに合わせて言葉の使い分けや言い換えができるようになります。幅広い表現力をビジネスでも活用しましょう。
皮切り
「物事の手始め、しはじめ」という意味があります。
「彼女の話を皮切りに、次々と発言が飛び出してきました」「この映画を皮切りに、漫画を原作とした映画が製作されるようになりました」などの使い方があります。
黎明
黎明は「れいめい」と読みます。夜明け、明け方という意味がありますが、その他に「物事が始まろうとすること、はじまろうとする時」という意味もあります。
端緒は物事のきっかけや始まりを意味しますが、黎明は始まろうとする時という意味で使用されるため、使い方や意味が異なります。例えば、物事が始まった時を「黎明期」ということがありますが、端緒はそのような使い方はしません。
例文としては、「社会がインターネットの黎明期であった頃から、私たちの会社はメールを使って仕事をしていました」「あの時は日本のラグビーの黎明期で、ラグビーという言葉さえ知りませんでした」などがあります。
なお、夜明けや明け方を意味する場合は、「明日の黎明には出発する予定です」などの使い方をしましょう。
冒頭
冒頭は「ぼうとう」と読み、文章や話の始めの部分や、物事の始めの部分を示す意味があります。
始めの部分を示すので、物事のきっかけや始まりを意味する端緒とは違う使い方をします。 「話の冒頭で述べましたように」「冒頭から頓挫した」「冒頭の挨拶では」などの使用方法があります。
発端
「物事の始まり」という意味で、「ほったん」と読みます。物事のきっかけという意味もあり、端緒と意味も使い方も似ています。
発端は日常会話でも使用が多く、「事の発端は~」「話の発端は~」などはよく使用される言葉です。
例文としては、「彼の告白を発端に、会社ぐるみの不正が次々と明らかになった」「半年前の災害を発端に、彼女の家族は離れ離れでの暮らしを余儀なくされた」などがあります。
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端緒の「端」は「はし」とも読み、物事の始まりや糸口を意味します。また、「緒」は糸やひもを意味しますが、糸口や始まりの意味もあります。このように、端と緒は同じような意味の言葉が組み合わさって、ひとつの言葉になっています。
端緒の意味と使い方を理解した上で正しく使いこなし、ビジネスシーンに生かしましょう。