一般財団法人 日本気象協会はこのほど、全国・都道府県別の 2021 年春の花粉(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)飛散予測(第3報)を発表した。

  • スギ花粉の飛散開始時期

同協会によると、花粉の飛散量は前年夏の気象条件が大きく影響するという。気温が高く、日照時間が多く、雨の少ない夏は花芽が多く形成されるため、翌春の飛散量が多くなると言われている。

同協会では、気象データに加え、前シーズンの花粉飛散結果や今後の気温予測などのデータ、そして全国各地の花粉研究会や協力機関からの情報、花芽調査の結果などをふまえて予測している。花芽調査では、スギやヒノキなどの植物に詳しい「植物のプロ」や、花粉の研究に長年携わっている学識者の協力を得ながら、その土地の気候や地形を知る「気象のプロ」による定点観測を重視している。

同協会によると、スギ花粉シーズンは、2月上旬に九州や四国、東海、関東の一部からスタートするという。スギ花粉の飛散開始は、九州から関東まで例年並みか早く、北陸や東北は例年並みとなる見込みとのこと。

これまでの厳しい寒さにより、スギの花芽の休眠打破が順調に進んでいるとみられる。2月中旬にかけて気温は平年並みか高く、例年より花粉が早く飛び始める所があるとしている。スギ花粉は飛散が開始する前からわずかな量が飛ぶため、早めの対策が大切とのこと。

スギ花粉飛散のピークは、福岡で2月下旬から3月上旬、高松・広島・名古屋では3月上旬から中旬の予想。大阪は3月上旬、東京は3月上旬から下旬となるという。ピークの時期は例年並みとなる所が多い見込みで、金沢・仙台では例年並みの 3月中旬から下旬にかけて飛散のピークとなると予想している。

スギ花粉のピークが終わる頃になると、ヒノキ花粉が飛び始める。ヒノキ花粉のピークは、福岡では3月下旬から4月上旬、高松は4月上旬から中旬、広島・大阪では4月上旬の見込み。名古屋・東京では4月上旬から中旬にヒノキ花粉の飛散のピークとなると予想している。金沢と仙台は、4月を中心にヒノキ花粉が飛散するが、飛散量は他の地点と比べると少ないため、はっきりとしたピークはないとのこと。

  • 2021年 スギ・ヒノキ花粉のピーク予測

2021年春の例年比での花粉飛散傾向予測は、九州から近畿、北陸、関東、東北の広い範囲で例年より少ない見込み。特に、九州は例年と比較して非常に少ないとみている。東海と北海道は例年並みとのこと。

一方、前シーズン比(2020年春との比較)で見ると、九州から関東にかけて多く、四国や東海、北陸で非常に多くなるという。前シーズンが例年より少なかったことが要因として挙げられており、前シーズンに花粉症の症状が軽かった人も2021年春は注意が必要とのこと。東北は前シーズン並み、北海道は前シーズンより少なくなるとみている。

  • 2021 年シーズンの花粉飛散傾向

  • 各地域の花粉飛散傾向