NHK出版はこのほど、『あの人はなぜ定年後も会社に来るのか』(税別850円)を発売した。
同書では、公認心理師・臨床心理士で、認知行動療法の専門家である著者・中島美鈴氏が、老後不安と孤独の正体について解説している。男性は、定年して会社という居場所を失ったとき、女性に比べて老後の時間を有効に使えないことが多いという。その理由について、中島氏は「男性が社会の中で集団的に形成してきた、特有の「認知」のあり方に原因があった」と語っている。
定年後の人生について指南している書籍には「子どもの頃にやりたかったことをやる」「仕事で培ったスキルを活かせることをする」と書かれているものもあるが、このように自分の内面と向き合う必要のある問いを差し出されたとき、「どういうふうに考えればいいかがわからない」とフリーズしてしまうことが多いという。仕事ひと筋で頑張ってきた人ほど、そうした傾向が強いとのこと。
同書では、社会の中で働く男性の心理を繊細に解きほぐしながら、明確に定年後の所在のなさの理由について解説。心理学的な裏付けをもとに、責任世代からの老後不安・孤独との向き合い方のヒントを示している。
内容は、「定年後の人生はどうなっているのか?」「老後の孤独感の正体」「あなたを支配する『考え方のクセ』」親密な「ヨコのつながりを築く方法」「自分で自分を評価する生き方」など。