EXILE/GENERATIONSの白濱亜嵐と、女優の平祐奈がW主演を務める映画『10万分の1』が現在公開されている。宮坂香帆氏による人気コミックの実写化作となる同作は、恋愛映画でありながら難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を正面から描いた。

実写映画でも、平演じる莉乃の葛藤や苦しみ、白濱演じる蓮が莉乃を支える姿がしっかりと丁寧に描写され、胸を打つ作品に。今回はW主演を務めた2人にインタビューし、撮影の思い出や互いの印象などについて話を聞いた。

  • 映画『10万分の1』でW主演を務める白濱亜嵐、平祐奈

    左から白濱亜嵐、平祐奈 撮影:泉山美代子

■初対面の印象は「少女」「お兄さん」

――今回W主演を務めることとなりましたが、互いの印象はいかがでしたか?

白濱:僕は台本の読み合わせの時に平さんと初めて会ったんですが、「少女が来たな」と思いました(笑)。まだ平さんも10代で、高校を出たばかりだったので、初々しい少女感があって、「何色にも染まってないような子」という印象でした。でも、久々に会ったらすごく大人になっていたので、今後いろいろな役を経験していく中で、成長していくのが楽しみだなという、お兄ちゃんみたいな気持ちになりました(笑)。

平:白濱さんは最初に会った時からイメージが変わることもなく、常にナチュラルでフラットで、余裕のあるお兄さんという感じでした。サービス精神も旺盛で、穏やかだし、ムードメーカーでもあるし、いろんな要素を持たれている方です。

――お二人とも明るいイメージがありますが、現場も明るかったんですか?

白濱:たしかに、互いに明るいので、暗い話とかしたことなかったですね(笑)。

平:ないね(笑)。暗いところも見たことない。作品の内容は重めなんですけど、現場は常に明るいし、みんなそれぞれ話したいこと話して仲も良かったので、すごく良い空気感でした。

――役作りはいかがでしたか? 辛いシーンが多かったですが、しんどくなることなどは。

白濱:桐谷は文武両道で真面目で真っ直ぐでというキャラクターで、劇中でも成長していくし、演じていきながらキャラクターを作っていきました。僕としては辛くなることはなかったですね。大変なシーンは平さんが多かったので、支えてあげる意識でやっていました。

平:今まで明るい役が多かったので、こういった役は初挑戦でした。ALSという病気を患った女の子なので、撮影前に実際にお話を伺ったり、ALSを取り扱っているドラマを見たり、病気を知るところから入りました。それから転び方や杖のつき方の練習など、日常生活に取り入れながらやっていました。撮影中に辛くなったり気持ちを引きずったりすることはなかったですけど、泣くシーンが多くて、撮り終わった後も涙が止まらなかったことが2回くらいありました。

――白濱さんの支えは感じていましたか?

平:感じていました。常に平常心でいてくれるので、安心感がありました。東京旅行のホテルで2人で話しながら泣くシーンがあったんですけど、なかなかスイッチ入らなくて。その時に「大丈夫だよ」と一緒に深呼吸してくれて、支えてもらいました。

白濱:ありましたね、「自分がスイッチ入った時で良いよ」と。一緒にやっている感覚で、支えてあげなきゃなと思っていました。

――今作は恋愛映画でもありますが、蓮、莉乃といったキャラクターを見て、どんなところが魅力的だと思いましたか?

白濱:優しいし、おじいちゃん子なところとか、かわいいいですよね。2人でオムライス食べたりするところが好きです。ムカつくと1句を読んだり、ちょっと裏があるのも、人間味があって良いなと思います(笑)。この映画って、綺麗事ばかりを描いていないんです。

平:たしかに(笑)。私は蓮くんのまっすぐで誠実なところも好きだし、物静かなのかと思いきやちゃんと人を見ていて、莉乃についても最初の告白で「傷を気にするところも、ムカつくと一句読むところも……」と言っていて、「お見通しだったんだ」と思いました。好きな人のことになると、一途だし、しかも10代の高校生で「生涯かけて守る」という決断ができることもすごいし、人間ができあがってる。パーフェクトな人だなと思います。

――白濱さんについてもパーフェクトだなと思いますか?

平:白濱さんは天才的なパーフェクトだと思います。いろんな才能を持たれてるので、面白いです。

白濱:ありがとうございま~す!(笑)

■自分も今後人生で病気になるかもしれない

――主題歌がGENERATIONS from EXILE TRIBEの楽曲「Star Traveling」に決定しましたが、そちらについてはどのような印象でしたか?

白濱:映画の世界観にぴったりですし、歌詞もすごくリンクするので、気に入っています。

平:初号試写で初めて「Star Traveling」を聞いたんですけど、桐谷くんと莉乃が旅行で見た星空は思い出に残ってるシーンだし、莉乃自身も両親と一緒に見たという設定だったので、ぴったりでした。エンドロールで主題歌が流れてくるところがすごく良くて、リズムもいいし歌詞も素敵だし、歌を聞きながら場面写真も流れるので、最後まで楽しめる。素敵な曲で良かったです。

――ALSについて考えたことや、生きてることへの感謝など改めて思ったことはありましたか?

白濱:すごく考えました。患者の方に会いにいくシーンで「心は自由だ」というセリフが印象的で、病気を患って体の制限はあるかもしれないけど、気持ちに制限はないんだな、当たり前というものを大切にしなければいけないんじゃないかなということを感じました。

平:当たり前のように過ごしてきたけど、莉乃は突然トイレに行っても動けなくなったりするし、何が原因かもわからないし治療法も見つかっていないから、自分が今後この人生においてなるかもしれない。そうなったときにどうなるんだろうと、深く考えさせられました。実際にALSの武藤将胤さんという方にお話を伺ったんですけど、前向きにポジティブに時間を過ごされて「時間は有限だから」とおっしゃってて、ALSの方がそれだけ前を向いて頑張ってるのに、自分たちも感謝して頑張らなきゃいけないなと、逆に背中を押されたところもありました。役を通して学ぶことが多かったです。

――作品を通して若い人に病気のことを知ってもらえるという面もあると思いますが、そうやって届けることへはどのような思いでいますか?

白濱:恋愛模様も描きつつ、病気のこともしっかりと目を背けずに描いているのがこの映画の素晴らしいところだと思います。僕はSNSで話題になった「アイスバケツチャレンジ」でALSのことを知ったんですが、この映画もそうやって知るきっかけになればいいなと。いろいろな人に届くと嬉しいです。

平:私も、まずは知ることが大事なのかなと思っています。『10万分の1』は少女漫画なんだけど、ALSを題材にしているからこそ、患者さんのことが大切に描かれているので、学生からその上の方、幅広い年代の方に見ていただけたらと思います。私も検査をしてるシーンでは実際に全部自分で体験して、本当に痛みを感じながら撮影もしていたので、ちゃんと思いが伝わったらいいなと思います。

■白濱亜嵐
1993年8月4日生まれ、愛媛県出身。2012年GENERATIONS from EXILE TRIBE パフォーマーとしてメジャーデビュー。 2014年4月にEXILE新パフォーマーに決定し、EXILEに加入。GENERATIONSのリーダーも務め、EXILEと兼任しながら活動、DJ(楽曲制作)としても活動している。俳優としての主な出演作には「HiGH&LOW」シリーズ(15・16年)とその映画版(16・17年)、映画『ひるなかの流星』(17年)、主演ドラマ『貴族誕生 -PRINCE OF LEGEND-』(19年)、主演映画『貴族降臨 -PRINCE OF LEGEND-』(20年)、ドラマ「M 愛すべき人がいて」(20年)、映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(20年)などに出演する。

■平祐奈
1998年11月12日生まれ、兵庫県出身。是枝裕和監督の『奇跡』(11年)で女優デビュー。その後もコンスタントに、『紙の月』(14年)、『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』(15年)、『青空エール』(16年)、『キセキ -あの日のソビトー』『きょうのキラ君』『サクラダリセット 前篇/後篇』『暗黒女子』『ReLIFE リライフ』『忍びの国』『未成年だけどコドモじゃない』(17年)、『honey』(18年)など話題作に出演している。TVドラマには、主演作『ひまわりっ~宮崎レジェンド~』(20年)などがある。