手駒を蓄え、寄せへと向かう重要な局面。一手のミスが即勝負に直結する佳境を迎える
将棋のタイトル戦、第33期竜王戦七番勝負(主催:読売新聞社)第2局が10月22、23日の日程で行われています。本日は勝負の決する2日目。勝利を手中に収めるのは、豊島将之竜王か羽生善治九段か、どちらになるでしょうか。
豊島竜王の初手▲2六歩で始まった本局は、角換わりの将棋となりました。角換わりは豊島竜王の得意戦法。それを羽生九段は避けることをしませんでした。
当然、迎え撃つからには用意があるとしたもの。羽生九段は14手目に△6四歩と突いて研究の一端を披露しました。この手は細かい工夫ながらも新手。相手の急戦策を最大限に警戒したものです。
△6四歩を見た豊島竜王は、早繰り銀を選択します。相腰掛け銀の将棋になってしまうと、△6四歩をとがめられないと見たのでしょうか。
銀を繰り出して、豊島竜王は銀交換に成功します。羽生九段は手にした銀をがっちりと自陣に投入。守りを固めたかと思えば、あえて銀の割打ちのすきを用意して、金銀交換を誘います。
豊島竜王は小考の末、相手の誘いに乗って銀を打ち込みました。これで豊島竜王は金銀交換の駒得を果たしましたが、相手にも攻め駒を与えることになります。一方の羽生九段も桂をぴょんぴょんと跳ねて反撃開始。桂で銀を取ることに成功し、両者相手の玉を薄めつつ攻め駒を増やしました。
両者が歩を相手陣目掛けて突いた局面で羽生九段が封じて1日目は終了しました。形勢は難解です。
2日目に開封された羽生九段の封じ手は△8六歩という攻めの手でした。ここではもっと過激に攻める△8六銀や、じっと歩を入手しておく△4五歩などもあったところです。
△8六歩の突き捨てを入れるのは一長一短。メリットは飛車が△8六飛と走れるようになった点。デメリットは狙っている桂を▲8五桂と逃げさせてしまう点や、歩切れの相手に歩を与えるといった点です。
羽生九段は突き捨てを入れた後に△3六歩と垂らして、先手の飛車の横利きを遮断。次に△7六歩と取り込めるようにしました。しかし、この瞬間は甘い一手。先手に攻めの手番を渡すことになります。
豊島竜王は81分考え、▲5三歩成と取り込んでから、▲3四桂と王手をかけました。歩成を入れずに▲3四桂もあったようです。
記事執筆中の11時40分時点では、▲3四桂の王手に対して羽生九段が考慮中です。形勢は依然難解。両者手駒が豊富にあり、玉形は薄い局面です。一手のミスが勝敗に直結する、本局の山場を迎えています。
昼休憩明けからは、いよいよ寄せ合いに入ります。対局者にとっては一番大変な時間帯ですが、観戦者には一番面白い場面です。ハラハラドキドキしながら勝負の行く末を見守りましょう。