A級全勝中と好調の斎藤慎太郎八段を破る

第41回将棋日本シリーズJTプロ公式戦(主催:地方新聞11社)の準決勝、▲永瀬拓矢王座-△斎藤慎太郎八段戦が10月4日に東京都「シャトーアメーバ」で行われました。結果は117手で永瀬王座の勝利。決勝進出を決めました。

同年代対決となったJT杯の準決勝。永瀬王座は久保利明九段を、斎藤八段は佐藤天彦九段、木村一基九段を破って準決勝に駒を進めてきました。永瀬王座と斎藤八段のこれまでの対戦成績は、永瀬王座の5勝2敗。タイトル戦では第67期王座戦五番勝負で対決があり、永瀬王座が3連勝で王座を奪取しています。

振り駒で先手になった永瀬王座は、角換わり早繰り銀を採用。1~2筋で激しい戦いとなり、永瀬王座は角2枚と銀を、斎藤八段は金銀を持ち駒にしました。

永瀬王座は手持ちの角を用いて攻めをつなげていきました。まず1枚目の角を打って相手に金を手放させます。次に1筋の香を捨て、その裏から2枚目の角を金取りで設置。歩の受けが利かないため、厳しい一手となりました。

角の王手を受け、6二へ逃げた斎藤玉を捕まえるべく、永瀬王座は▲7五金と上部に重しを置いて寄せ形を築いていきます。次に8二にいる飛車を狙った▲8四香が厳しい狙いの一手。これを緩和するために斎藤八段は△7一玉と引いて飛車の可動域を広げましたが、これがどうだったか。ここでは受けに回らずに攻め合いを志向すれば、まだ難しい勝負だったようです。

永瀬王座は狙い通り▲8四香と打った後、玉を一つ寄りました。これで自玉には怖いところが何一つなくなり、万全の態勢。以下は厳しく攻めを続け、斎藤玉を寄せ切りました。

今期がJT杯初参加の永瀬王座がいきなりの決勝進出を決めました。決勝戦の相手は渡辺明JT杯覇者-豊島将之竜王戦の勝者です。

2012年以来の棋戦優勝まであと1勝とした永瀬王座
2012年以来の棋戦優勝まであと1勝とした永瀬王座