一向に収束が見えない新型コロナですが、仕事や暮らしにこれほど大きな影響があるとは、多くの日本人は思っていなかったでしょう。これからは見えてきた新しい流れに一気に加速するのか、また元のスタイルに戻っていくのか、アフターコロナに向けて、どのように考え対処していけばよいのでしょうか。
住むところで考えれば、テレワークが浸透していけば、確かに都心に暮らす必要はないかもしれません。それでは今後都心離れが大きな流れになるのでしょうか。それとも都心回帰は変わらず続くのでしょうか。我々の暮らしを、今後どのような選択をしていけばよいのでしょうか。
新型コロナの流行で何が変化したか、何がわかったか
新型コロナの流行を受けて、大きな変化を強いられた方、大きく意識が変わった方、それぞれいろいろ考えるところがあると思います。新型コロナの流行でわかったことをいくつか振り返ってみましょう。それによってどこに住むかも見えるかもしれません。
世の中は、新型コロナの流行で簡単に変化する
近年、日本は戦争による大量破壊も明治維新のような社会の大きな変化もありませんでした。確かにオイルショックやリーマンショック、阪神淡路隊震災や東日本大震災はあり、会社が倒産したり、多くの人命が失われたりしました。しかし被害は大きくても社会の変化というものではなかったと思います。
仕事と収入確保のために多様なスキルが大切
法人でも個人でも、いわゆるつぶしがきくスキルが必要となります。これからは変化に対処していく何かが必要なのでしょう。
やはり、貯金が大切
契約社員やアルバイトであれば、今後も雇用止めの事態もないわけではありません。立場の弱い方こそ、備えが必要なのです。「アルバイトで貯金もできない」と言いがちですが、それでも何とかして貯金は必要なのです。
別の身近な別の例として、「住まいを取得したばかりで、預貯金を頭金に拠出したばかりで残高が少なく、収入が少なくなると住宅ローンの返済が苦しい」といったケースはよくありがちなように思います。最近は借り入れ条件が緩くなり、頭金なしで住宅ローンを借り入れるケースもあります。当然月々の返済額は増えて、万一の時には対処が厳しくなります。これからは無理のない住宅取得は一層重要になるでしょう。
リスクヘッジの対策が必要
今後も新たなウィルスの流行がないと言い切れません。今後もあると考えるほうが普通だと思います。新型コロナの影響で収入が減少した方、離職を余儀なくされた方、またはそうした業界の方々は、新たな流行に備える必要があります。本来、数か月は持ちこたえられる備蓄か対策は必須だったでしょう。
数年前の旅館業とアパート経営をしているクライアントの事例で、老朽化したアパートの建て替えで、アパートとして建て替えるか、儲かっている旅館業を拡張するかの相談でした。長期収支を計算してみると旅館業の方が上回っていました。しかし、単一業種はリスクに弱いので、アパートとして建て替える方が望ましいとアドバイスしました。ダブルライセンスやサイドワークなどリスクヘッジの手段が問われる時代になりそうです。
テレワークは確実に広がる
テレワークに適した職種とそうではない職種があるとは思います。それでも事務所の家賃や光熱費、交通費などの経費を節約できるテレワークは確実に広がるはずです。会社が本格的にテレワークに移行するのであれば、高くて環境も悪い都心に住む必要はありません。郊外や遠隔地への移転が不安であれば、通勤も可能なリモートに最適な立地を模索する方法もあります。
非日常の過ごし方の見直し
8月23日時点での人口10万人当たりの新型コロナ感染者数は東京が約140人でトップです。沖縄県の約130人、大阪府約90人、福岡県約80人、愛知県役55人と続き、京都府、石川県、埼玉県、神奈川県、千葉県が全国平均の約50人近辺となっています。
人口が密集していることも影響がないわけではありませんが、感染者の半数程度は明確な3密行為の結果のようですので、都市部の生活スタイルそのものが問題だと言えます。飲食店や娯楽施設など、都市部の生活スタイルはこれらの既成の施設やモノに頼ることが多いと思います。これからは施設やモノに頼らずに自分を楽しませられる生活スタイルを模索することが大切のように思います。
都心はリスクが大きい
コロナ問題以前に、都心での居住はリスクが少なくありません。さほど遠くない時期に起きると言われている首都直下型地震が起きれば、東日本大震災以上の大きな被害をもたらすでしょう。その際には本当に残念ながら、多くの子供たちも犠牲になってしまうでしょう。必ずしも都心は安心して子育てできる環境ではないのです。
私はおおむね23区内で育ちました。最近昔住んでいたエリアを自転車で回ってみました。マンションなどはない昔ながらの戸建て住宅地で、そうした意味では何も変わっていないはずですが、もはや人が愛着を持って住み続けられる力を失った姿で、衝撃を受けました。私も2地域居住(コロナで中断中)ですが、周辺のリタイア・リタイア予備軍世代は都心脱出組が少なくありません。
これから成長する子供にとって「ふるさと」は、これから親たちが住むところにほかなりません。自分たちが心に思っている「ふるさと」はとても大切なもののはずです。忘れがちですが、ことども達にも「ふるさと」への思いを与えることは大切なことではないでしょうか。
都心に暮らすメリットはいろいろありますが、リスクも多いのです。わかりやすい災害リスクだけでなく、精神面でも限界が近づいているのではという気がしています。若い世代が果敢に郊外や地方でのライフスタイルを作り上げていってほしいと思います。
郊外への移転、成功するにはライフスタイルが決め手
郊外居住のメリットもまた少なくないとは思いますが、都心回帰にはそれなりの意味がありました。果たして再び郊外の生活へと向かうかは疑問です。転職もこれからは普通なことになれば、テレワークから再び通勤スタイルに戻ることもあるでしょう。安易に郊外に移転するのはリスクを伴います。
そのために、郊外へ移転する場合には、しっかりとした人生設計が重要となります。自分たちのライフスタイルと郊外居住の意味、どんな事態においても収入を得られるスキルのレベルやその範囲、郊外の地元でも収入確保できる人脈確保など、変化を予測した用意周到な計画が問われます。
郊外に移っても、同じような生活スタイルの友人や同僚等で都心にサテライトスペースを持つとよいと考えています。打ち合わせができ、夜遅くなったときには泊まれるロフト付きの1ルームのようなスペースでよいと思います。何人でシェアするかにもよりますが、都心で住まいを取得するよりは少ない出費で済むかもしれません。何よりも郊外で広くのびのびと安心して暮らせるメリットは計り知れません。