横浜市立大学は7月29日、新型コロナウイルス感染症の回復者を対象に、日本で初となる大規模な抗体検査を開始すると発表した。この研究により、日本においてどのくらいの回復者に抗体が残り、免疫がついたといえるのかが明らかになるという。
同検査の対象となるのは、過去に新型コロナウイルスに感染して現在は回復し、研究への参加に同意した20歳以上の男女。検査は無料で受けられ、PCR検査等で陽性となった日から半年後、1年後の2回にわたって採血が行われる。検査の協力後には、結果を確認することもできる。
今回の研究では、回復者の体内で産生された新型コロナウイルスに対する抗体が、感染から1年後までの中長期を経た後も残存するかを調査するとともに、新型コロナウイルスの感染阻止に寄与すると考えられる中和抗体の測定も実施。
この研究によって得られた情報により、日本における集団免疫達成可能性の検討や既感染率の正しい推定につながるほか、ワクチン開発に向けた重要な知見が得られるという。
日本では、厚生労働省による抗体保有率の調査が既に実施されているが、回復者を対象にした大規模・長期間の調査は国内初とのこと。
同大学医学部の山中竹春教授は、同研究の意義について以下のように語っている。
「新型コロナウイルスの感染後、抗体が残るのかどうか、残ったとして抗ウイルス作用があるのかどうかに関してはまだ結論が出ていない。海外からは比較的ネガティブな報告が散見されるが、ごく最近、アメリカからはむしろ抗体は残るというポジティブな研究報告も出ていて混とんとしている状況。いつ感染したかわからない回復者を少ない症例数で研究するのではなくて、期間を決めて大規模な研究を行う必要があると思う」。
出来る限り多くの協力者を募りたいとしているが、300~400人ほどの参加があれば、さまざまな分析が可能となり、日本における新型コロナウイルスの理解に役立つとしている。結果は9・10月の検査実施・解析後、速やかに公表される予定。
8月よりコールセンターから参加申し込みが可能。詳細は「コロナ回復者専用抗体検査PROJECT」の特設サイトなどで確認できる。