俳優の木村拓哉と斎藤工が、テレビ朝日系ドラマ『BG~身辺警護人~』(18日スタート、毎週木曜21:00~ ※初回20分拡大)の放送開始に向けて、意気込みを語った。

丸腰の状態でまさに“命の盾”となり、あらゆる危険からクライアントを護る民間ボディーガードの生き様と戦いを描く同ドラマ。新シリーズでは、民間警備会社の身辺警護課に所属していた島崎章(木村)が「弱き者の盾になる」という使命を貫くため、“利益優先”の組織を飛び出し、私設ボディーガードに転身。斎藤は、独立した章の動向のカギを握るボディーガード・高梨雅也を演じる。

  • 斎藤工(左)と木村拓哉=テレビ朝日提供

■当初の台本は「東京2020オリンピック」が描かれていた

――ついに新シリーズの放送が開始されます。今の率直なお気持ちをお聞かせください。

木村:予定していた新シリーズのスタートが2カ月遅れること自体、初めての経験で…。この苦渋の決断にGOを出してくださった関係者の皆さんには、いろんな覚悟や責任があったことを察すると同時に、タイムラグを埋めるため、以前ご覧いただいたかもしれない前シリーズをパッケージし直して届けることに対しては正直、最初は戸惑いました。そういう意味で、僕にとっても非常に大きい経験でしたね。こうして今、新シリーズをお届けできる日を迎えることができて、心から良かったなと思います。

斎藤:僕はこの2カ月間、たとえ撮影がなくても『BG』という船のクルーの一員である状態に、すごく支えられていました。もちろん、事態が刻々と変わり、いろんなことを諦めなければならない状態の中で、自分の気持ちが沈みそうなこともあったんです。でも、「なんで分かるんだろう!?」というようなタイミングで、木村さんが連絡をくださって…! そこで「僕は今、『BG』の途中にいるんだ!」と認識できて、モチベーションも途切れなかったので、とてもありがたかったし、たくましかったですね。

――木村さんはどんな思いから、斎藤さんに連絡をされたんですか?

木村:実を言うと、僕らが最初手にしていた台本の目玉は「東京2020オリンピック」で、この一大イベントをめぐって身辺警護をビジネスコンテンツにしていくか否か…という内容も描かれていたんですよ。でも、まずオリンピックが延期になったことで、僕らの作業も方向性を大きく変えざるを得ない。そんな中で抱いた疑問を、どうしても個人の中でしまっておけなくなったとき、「あぁ、工とだったら共有できるな」と。緊急事態宣言発令までの過程やその後も同じように、逆に僕の方がモチベーションをキープするため、すごく大きな存在として工に頼らせてもらったんです。

■「これが“新しい当たり前”なんだ」

――無事に撮影も再開されましたが、現場はどんな形で前進していますか?

木村:鬼の牛歩並みの前進はしていますけど(笑)、今までと同じ作業、同じ進み方はできないというか…。再開初日は正直、リハーサル中ずっとマスクとフェイスガードをするという“新しい文化・形容”を受け入れることに、抵抗があったんですよ。でも、今日に至っては、むしろ「これが“新しい当たり前”なんだ」と、素直に受け止められるようになりましたね。スタッフが全員、そういうモチベーションで臨んでいるからこそ、僕らも意識改革ができたんだと思います。

斎藤:忘れもしない、再開初日にフェイスガードをした木村さんが「早く、これをニュースタンダードとしてとらえた方がいいんじゃないか」とおっしゃって…。これがまた、めちゃくちゃ似合っていて(笑)、初日からトレンドにしてくれたんですよ。木村さんのおかげで僕もアップデートされたな、と感じた初日でした。

――撮影の中断時期を経たことで、逆に現場で士気が上がったり、作品への思いが強くなったりしたようなことはありましたか?

木村:いまだに不安要素ゼロで現場に立つことは、相当難しいことだと思うんですよ。でも、そういう逆境が実在するからこそ、みんなで一緒に「なにくそ!」と踏ん張れてる感じはしますね。

斎藤:コロナという大きな波を受け、どう立ち向かっていくのか…。そういう視点から、視聴者の方も“初めてのドラマの見方”をすると思うんです。劇中での距離感の取り方を含め、『BG』が「withコロナ」でどう対応していくのか――その新解釈にこのチームで挑めるのが、僕は本当にうれしいです。

木村:そういう目の前の状況に対する姿勢など、劇中でも現場でも誤差がないかな、と思います!

■自粛期間で考えた“まもる”ということ

―――ちなみに、この2カ月の間に“護る”ということ、今『BG』を世に届けることの意味について、何か考えられたりしましたか?

木村:マスクしかり、みんなが今マナーとして実践している行為の源にある思いは、自分が感染したくないからじゃなく、もし自分が無症状の感染者だった場合にうつしたくないから。自粛期間も、人のことを考え、思いやりながら、行動してきた時間だったと思うんです。もちろん飲食業の方など、今でも死活問題に直面してらっしゃる方たちがたくさんいますし、置かれた境遇によって“まもる”という言葉に当てはまる漢字も、文字の色の濃さも大きさも違う。各々の“まもる”があると思うんですけど、必ずそこには大切な相手がいて、その人たちのために何か行動を起こしたり、踏ん張ったりしてらっしゃると思うんです。『BG』もそのひとつの延長として、僕らは作業していきたいと思います。

斎藤:ボディーガードというと、アクティブな護り方をイメージしがちですが、時として“波風を立てない護り方”もあると思うんです。そういう意味ではこの作品に、僕らが自粛期間に実践してきた“人にうつさない”という護り方に通じるフィロソフィーを、とても感じました。あと、新シリーズは島崎章が組織を抜けるところから始まります。この期間にやむを得ず家業を畳まれたり、再出発することになった方々は、島崎章のリスタートの仕方、目の強さ、人間性に勇気づけられるんじゃないかと思います。

■斎藤工の画がつながらない!?

――最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

木村:大変お待たせいたしました! 新シリーズを見てくださる皆さんに対してフィジカルな身辺警護をするのはちょっと難しいですけど、メンタルに関しての身辺警護はできるんじゃないかな、と思います。ぜひ新シリーズを受け取っていただいて、メンタルのガードに使っていただけたら、うれしいです。

斎藤:僕はですね…この2カ月間、自分でも鏡を見て「あぁ、老けたな」と思って(笑)

木村:(撮影中断前と画が)つながらないじゃん(笑)!

斎藤:そうなんです。そこを見どころにしちゃいけないんですけどね(笑)。ただ、新シリーズはそういうことも起こりうる状況で作られた、今まで以上に作り手と受け取り手の“見えない距離”が近い作品。ほかのドラマも含めて、“特別な瞬間”を目撃してほしいな、と思います。