部屋のどこにワークスペースを作るのか決まったら、次に考えたいのは作業環境だ。仕事の効率のポイントとなるのは、やはり机と椅子。1Kやワンルームでは場所を取るものは難しいし、最初から値の張るアイテムも揃えにくい。リーズナブルに快適な作業環境を作るヒントをインテリアコーディネーター&整理収納アドバイザーの中西八枝佳さんに聞いてみた。
【Step01】折りたたみ机はワンルームの強い味方
会社では、机と椅子で仕事をしている人がほとんどだろう。しかし、自宅となると、1人暮らしに案外多いのがローテーブルしか持っていない人だ。経験者ならわかると思うが、ローテーブルでの長時間作業はけっこう身体に負担がかかる。中西さんも「ローテーブルしか持っていない人も、できればテレワーク用に机と椅子を用意した方が身体が楽です」とアドバイスする。
「机を用意するといっても、会社で使うようなしっかりとしたものではなく、折りたたみタイプで十分です。使わない時はたたんで部屋の隅に置いておけばいいですから、すでにローテーブルを持っている人も導入しやすいはず。リーズナブルな製品がいろいろある点も、予算的に魅力です」
また、意外に便利なのが、アイロン台のように高さを変えられる昇降式テーブルだ。仕事の時はハイテーブル、プライベートの時はローテーブルという使い方もできるため、この機会に机を買い換えるという人は選択肢に入れてもいいだろう。
「机の広さはPCと資料を置けるスペースがあれば大丈夫ですから、大きいサイズは必要ありません。仕事で使うPCのサイズとよく使う資料、後はコーヒーなどを置くスペースを考えて、自分に必要な広さを割り出してみてください」
【Step02】椅子+クッションで疲労を軽減
椅子選びの一番のポイントは、机の高さとのバランスだ。一般的に、机の天板の高さと椅子の座面の高さが27~30cm程度離れているのが望ましいとされている。「次にチェックしておきたいのが、座面の素材です」と、中西さん。
「硬い素材や冷たい素材は身体に負担がかかり、疲れやすくなります。そういう椅子しか用意できない場合は、柔らかすぎないクッションなどを敷いて調整することが大切。膝にもクッションを置いて肘を置けるようにすると、肩への負担が減るのでおすすめです。PCに向かう時間が長い人は、背もたれがある椅子を選んだ方がいいでしょう」
椅子に座った際に視界に入る位置にも注意が必要だ。ここをスッキリさせておくと気が散らず、仕事に集中しやすくなる。家の中も、玄関ドアを開けた際に一番目がいく場所を整えておくだけで、来客は「この家はきれいに片付いている」と感じやすい。
逆に、視線が向かない背中側はゴチャゴチャしていても構わないため、オンライン会議用にスッキリさせた場所を、作業中は正面にするというのもひとつの手だろう。折りたたみタイプの机なら、こういう時も簡単に位置を変えられて便利だ。
【Step03】集中力キープに役立つ温湿度計&タイマー
自覚しにくい割に作業効率に大きく関わってくるのが温度と湿度だ。オフィスが暑すぎたり寒すぎたりして集中できなかったり、ついには体調を崩してダウンしてしまったり。そんな経験がある人は少なくないだろう。快適に作業できるように、テレワークでは温湿度計も用意しておきたい。
「温湿度計があれば、室内環境を数字で管理できますから、快適な状態を保ちやすくなります。特に気付きにくいのが湿度で、一般的に適正と言われているのは夏期50~60%、冬期40~50%。これより低いと口や鼻の粘膜が乾燥、高いと体内の水分や塩分のバランスが崩れたりして、どちらも健康にもよくありません。温度は個人差がありますから、自分が快適と感じる気温を温度計で確認しておくのがおすすめです」
温湿度の管理と同様に、テレワークで大事なのが時間管理だ。会社のようにランチタイムや終業時間を教えてくれるものがないため、集中すると寝食を忘れて仕事をしてしまいやすい。不規則な生活にならないように、中西さんはタイマーのアラームをお昼にセット。鳴ったら必ず作業をやめて、食事を摂ることにしているという。
「1時間ごとにアラームをセットして、軽く身体を動かしたりと、適度に気分転換をした方が結果的に仕事の効率が上がります。太陽の光を浴びるのも、気分をリフレッシュさせるのに効果的。以前、スウェーデンを訪れた時、彼らは休憩時間になるとコーヒー片手にベランダに出ていました。部屋にベランダがある人なら、ピクニックシートを敷いたり、椅子を持ち出したりして、そこでランチや一休みをしてみるのもいいと思います」