加藤桃子女流三段が西山女王を破り、2勝1敗に。次局を勝てば女王復位となる。
将棋の女流タイトル戦、第13期マイナビ女子オープン五番勝負第3局(主催:マイナビ)が5月12日に東京・将棋会館で行われました。これまでの2局ではお互いに1勝ずつのタイスコアとなっており、両者とも本局を勝てば先にタイトル獲得にリーチをかけられる重要な局面でした。結果は加藤桃子女流三段の勝利となりました。次の第4局を勝てば2期前に奪取された女王位を取り戻すことができます。
先手の加藤女流三段は初手2六歩から居飛車を選択。後手の西山女王は2手目3四歩から角道を止めてノーマル三間飛車に組みました。第1局、第2局と同様に対抗形の将棋となりました。ここから互いに玉を囲う展開がよくあるパターンですが、加藤女流三段は強い踏み込みを見せます。
加藤女流三段が開始からわずか13手目で4五歩と角道をこじ開ける意表の一手を放ちます。三間飛車にはこの手を考えていたと局後のインタビューでも語っていました。西山女王は取らない手もありそうでしたが、堂々とこれを取ります。序盤から角交換をする激しい将棋となりました。
加藤女流三段はすぐに飛車取りと角成りの両狙いで角を打ち、西山女王は角成りを受けて飛車角交換が成立。加藤女流三段はまたすぐに飛車を相手陣におろします。ここから加藤女流三段は積極的な攻めで右辺で駒の交換を行いました。金銀と飛香の交換で駒得をした西山女王は角を成り込みましたが、1二に打った自陣角が遊んでいます。一方で加藤女流三段は後手陣に竜を作り攻めの態勢がしっかりしています。
自陣飛車を打ち攻めに備える西山女王。しかし数の攻めが受からないため、玉を早逃げしてなんとか耐えます。加藤女流三段が垂れ歩からの攻めを見せたタイミングで西山女王は飛車を成り込み、すぐに自陣に引きつけて受けの形を作りました。
加藤女流三段はそれでも垂れ歩を拠点に銀を打ち込みます。厳しい攻めに西山女王はなんとか耐えようと銀を上がって玉の上部を補強しました。ここで加藤女流三段は成りこまれた馬を追って働きを弱くします。安定した加藤玉には攻めの糸口が見つかりません。一方で攻め駒の金を盤上に打ちつけられ、西山玉はかなり危険な状態。なんとか嫌味をつけようと控えの桂を打つ西山女王ですが、加藤女流三段は竜を回って桂跳ねを阻止。ここでもはや打つ手なしとみた西山女王の投了となりました。終局時刻は13時58分、本局は早い決着となりました。
この勝利で加藤女流三段の2勝1敗となり、女王獲得まであと1勝としました。次局、このまま加藤女流三段が押し切るのでしょうか。角番へと追いやられた西山女王は先手番を生かしてなんとか踏ん張りたいところ。
注目の第4局は5月18日に東京・将棋会館で行われます。