子どもの可能性を広げるために、いろいろな経験をさせてあげたいと思うのが親心。新年度を前に、子どもの習い事について悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、習い事を検討する際に意識しておきたいポイントをご紹介します。

  • 子どもの習い事、費用はいくらかける? "我が家にとって"の適正額の見極め方 ※画像はイメージ

習い事にかける費用はどれくらい?

まず、文部科学省から発表されている「学校外活動費」の平均額を見てみましょう。

「学校外活動費」とは、塾や家庭教師などにかかる「補助学習費」、水泳やピアノなどにかかる「その他の学校外活動費」を合わせた額を指し、同省が毎年調査しています。

平成30年度の調査結果を公立・私立ごとに見ていくと、1人あたりの平均月額が最も多いのは、公立では中学3年生の3万4,016円、私立では小学6年生の7万1,739円でした。

また特に小学校では、公立か私立かによって費用に大きな差があり、3倍以上の開きがある学年もありました。

  • 文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」を元に筆者作成

このように、公立か私立か、どの学年かによって、平均額はまちまちです。また、高等学校では、大学進学をする場合としない場合によっても、補助学習費の費用は大きく変わってくるだろうことにも注意が必要です。

さらに平均データには、それぞれのご家庭の価値観や事情が加味されていません。そのためあくまで目安と考え、我が家にとっての適正額を見つけていく必要があります。

家計と時間のバランスを考えよう

先ほどの調査で、習い事の費用が家計に大きな影響を与えていることがお分かりいただけたと思います。実は習い事が多くなる時期は、教育費の準備時期と重なります。

例えば、これから10年間で私立大学文系の学費を準備するのであれば、1カ月に6万円の貯蓄が必要になります。児童手当を全額(約200万円)貯めていたとしても、1カ月に4万4,000円の貯蓄が必要になるのです。なかなかインパクトのある数字ではないでしょうか。

  • 日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」(2019年3月20日発表)を元に筆者作成

食費や通信費など、教育費以外の項目とのバランスもそうですが、教育費における「将来の子どもへかけるお金」とのバランスも意識して、習い事にどれだけの費用がかけられるのか、考えてみましょう。

また忘れがちですが、子どもの年齢や住んでいる地域、習い事の種類によっては、子どもだけではなく、親も送迎や待機、準備に多くの時間を費やすことになります。

「子どもの可能性を広げるためにがんばりたい」という気持ちがあったとしても、仕事や家事で忙しい中、過度ながんばりは禁物です。

1週間のスケジュールを親子ともに可視化して、無理なく習い事に使える時間を把握するところから始めてみるといいのではないでしょうか。

習い事を始めるときには"何のため"を明確に

そして最も大切なのは、「何のためにその習い事をするのか」です。

例えば、親に「英語を話せるようになってほしい」という気持ちがあったとします。そうしたら、一度この気持ちを深く掘り下げてみましょう。

・異文化に触れる機会を持ってほしい
・新しいことを知る楽しさを知ってほしい
・自分の思いをハッキリ表現できるようになってほしい

こういった気持ちがあることに気づくかもしれません。気持ちを掘り下げ、本来の目的が明確になることで、教室選びもしやすくなるはずですし、「英語を習う」以外にも選択肢があることに気づきやすくなります。

親がしてほしい習い事と子どもがやりたい習い事が違う場合にも、この目的が明確になっていると、妥協点を見つけやすくなりますよ。

親子ともにゆとりが持てるかも基準の1つに

これから、子どもたちは親である私たちが想像もできない新しい時代を生きていくことになるでしょう。そんな時代を生き抜く力を育むために、少しでも何か役立つことをさせてあげたい、といろいろな習い事が気になるのも正直なところです。

ただ、何かを学んだり、身につけたりするには、「楽しむ」ことがとても大切だと言われています。そして、楽しむためには親子共に"ゆとり"が必要なのではないでしょうか。

習い事に迷ったときには、「親子ともに楽しめるか?」を1つの基準にし、"ゆとり"を持つために何をしたらいいのかを考えてみるのもいいのかもしれません。