「サロンパス」などで知られる医薬品メーカー・久光製薬と、日本赤十字社が災害時における支援協力に関する協定を締結。1月31日に調印式が執り行われた。

  • 久光製薬の中冨一榮社長(左)と日本赤十字社の大塚義治社長

    久光製薬の中冨一榮社長(左)と日本赤十字社の大塚義治社長

久光製薬が日赤に製品を無償提供

今回の協定は、災害時に日赤の要請に基づき、久光製薬が日赤に対して予め指定された製品を無償提供するもの。この協定による医療部外品などの支援物資は、原則として日赤の職員やボランティアが使用するが、ニーズに応じて避難所を運営する行政機関などに提供することも可能となる。

久光製薬では、これまで約1,500名もの社員が日赤の特別社員として活動しているほか、国内外で発生した災害の被災者支援として義援金の贈呈、募金活動の実施、マッチングギフト制度「久光製薬株式会社ほっとハート倶楽部」によるAED練習機や救急法普及のためのウェブ教材の贈呈といった取り組みを行ってきた。

久光製薬の中冨一榮社長は、「久光製薬は『サロンパス』や『デコデコクール』など、医薬品に留まらないさまざまな商品を通して、世界の人々の健康に寄与してまいりました。そうした中で日本赤十字社様の使命に共感し、ともに多くの取り組みを行っています」とあいさつ。さらに協定締結の経緯ついて、次のように述べた。

「昨年の台風19号のような大きな被害をもたらす台風や豪雨、また地震などによる被害などが頻発している中、災害支援にあたられる日赤職員の皆様、赤十字ボランティアの皆様、被災された皆様に対し、当社としてニーズに応じた支援をしたいとの思いから締結に至りました」

ボランティアの熱中症対策が重要

また、日赤の大塚義治社長は「歴代の会長・社長様、社員の方々を含め、久光製薬様には長きにわたり、大きなご支援を賜っています。そのお気持ちが実際に現場で働くスタッフたちに、どれほど大きな励ましや勇気になるか、こうしたご支援を賜る度いつも感じています」と感謝の意を表明。

「今回は、災害支援に赴くスタッフが少しでも活動しやすいようにという主旨でご協力をいただくことになりました。私どもが最近特に必要性を痛感していた分野です。ご厚意を災害救護のため有効に役立たせていただきたいと思います」と述べた大塚社長は、中冨社長とともに協定書に署名した。

日赤事業局救護・福祉部次長の相澤達也氏は、「自然災害の頻発化、激甚化、被災エリアの広域化などが今後も予想されています。特に地方では人口減少や少子高齢化に伴い、高齢者をはじめとする災害時の要援護者の安全・安心を確保するため、今まで以上の支援の充実が必要になってきています」と説明。

近年、暑い時期に台風や豪雨災害が多発しているが、久光製薬の冷却ジェルシート「デコデコクール」、冷却タオル「アイスタオル」などを例に挙げながら、被災者や支援にあたるスタッフ・ボランティアの熱中症対策の重要性を指摘した。

「2027年に創立150年を迎える日本赤十字社は従来の活動に加え、支援の手が届きにくい分野への貢献、救援の隙間を埋められる支援活動へ積極的にチャレンジしていきます。今回の協定締結は、まさに救援の隙間を埋めることのできる新たな支援活動として期待しています」と、相澤氏はコメントした。

  • 左から久光製薬スプリングスの萱嶋章部長と長岡望悠選手、日赤の大塚社長

    左から久光製薬スプリングスの萱嶋章部長と長岡望悠選手、日赤の大塚社長

調印式では、久光製薬の女子バレーボールチーム・久光製薬スプリングスから令和元年台風第19号災害に対する義援金の目録も贈呈された。この義援金は、久光製薬スプリングスのホームゲーム会場での募金活動で集められたもので、配分委員会を通じて、それぞれの被災地へ届けられる。