渡辺明三冠は山崎隆之八段に敗れる

1月20日に東京・将棋会館で第13回朝日杯将棋オープン戦(主催:朝日新聞社)の本戦1・2回戦が行われました。準決勝最後の1枠を獲得したのは、糸谷哲郎八段と山崎隆之八段を破った永瀬拓矢二冠でした。

10時から行われた1回戦の永瀬二冠-糸谷八段戦は、後手の糸谷八段得意の一手損角換わり戦法に永瀬二冠が早繰り銀で対抗。右玉に構えた糸谷八段は2~3筋方面からの攻めをいなす方針を採りましたが、永瀬二冠の攻めが強烈でした。持駒の角金を打ち付けて後手の2筋の守りを突破すると、あっという間に糸谷玉を寄せ切ってしまいました。97手の決着でした。

14時からのもう1局の1回戦、渡辺明三冠-山崎隆之八段戦は先手の山崎八段が相掛かりを採用。左右ににらみを利かす角を盤上の要所に据えて、積極的に動く山崎八段。角の利きを生かして左端から突破を果たすと、成駒を量産して優位を拡大しました。最後は差が詰まったものの、際どく逃げ切って113手で勝利を収めました。

勝った方が準決勝進出となる2回戦は19時から行われました。角換わり腰掛け銀に構えた先手の永瀬二冠に対し、後手の山崎八段は飛車を4筋に転回してカウンターの構えをとりました。駒がぶつかった中盤に、永瀬二冠が打った角が大活躍。敵陣をかき乱したのち、銀との交換で役目を終えましたが、成果は十分。修復不能状態の後手陣を、さすがの山崎八段もまとめ切ることができずに、99手で永瀬二冠の勝ちとなりました。

これで永瀬二冠が準決勝進出を決め、ベスト4が出そろいました。準決勝の対戦カードは永瀬二冠-阿久津八段戦と、千田七段-藤井七段戦です。前者は永瀬二冠の5勝0敗、後者は藤井七段の2勝0敗となっています。阿久津八段、千田七段は一度も勝ったことのない相手との対戦です。

また、阿久津八段は第2回の、藤井七段は第11・12回の朝日杯優勝者なのに対し、永瀬二冠と千田七段は全棋士参加の一般棋戦優勝がありません。

藤井七段の3連覇達成なるかが大注目の朝日杯。永瀬二冠ら3棋士ももちろん、そうはさせまいと気合を高めているでしょう。準決勝・決勝は2月11日に千代田区「有楽町朝日ホール」で行われます。

タイトル2期獲得、若手棋戦は2回優勝の永瀬拓矢二冠。初の全棋士参加の一般棋戦優勝を目指す