キリンホールディングスはこのほど、研究を行っている「KW乳酸菌」について新たな効果の検証に成功したことを明らかにした。11月14日に行われた発表会では、目の疲労を軽減することが世界で初めて報告された「KW乳酸菌」について、眼の専門家が詳しく解説。「KW乳酸菌」を配合したサプリメントなども紹介された。

  • KW乳酸菌についての発表会が行われた

「目」にかかわるリスクとその原因

はじめに、根岸眼科クリニックの松本和子院長が、「目」にはどのようなリスクがあり、どのような原因によってそのリスクが引き起こされるのかについて解説した。

  • 根岸眼科クリニックの松本和子院長

スマートフォンやパソコンの普及、超高齢社会の到来により、現代社会では目の健康を維持することが大きな健康課題の一つとなっている。目は、入ってきた光が網膜で焦点を結び、電気信号が視神経を通って脳に伝わり「見えている」ことになる。つまり、目は常に光という外界からの刺激にさらされている器官といえるのだ。

  • 主にスマホやテレビなどから発せられているブルーライト

光による刺激で近年、話題となっているのはブルーライトではないだろうか。ブルーライトは波長が380~500nmの青色光で、可視光線の中で最も波長が短いためパワーが強い光になっている。ブルーライトはスマホやパソコン、テレビなどから発せられているものだが、実は自然な光の中にもある。

「ブルーライトは、昼間の光など、自然の光にもあります。この自然な光の中にあるブルーライトは特に気にする必要はありません。スマホなどの人工物からの光にブルーライトは特に多く、非常に刺激が強いため気をつける必要があります」

  • ブルーライトはパワーが強く、目の奥にまで到達してしまう

ブルーライトは波長が短いため非常にパワーの強い光となっており、この強い光が網膜に到達すると、過剰暴露によって網膜がダメージを受けてしまう。これを過剰免疫反応と呼び、将来的に加齢黄斑変性症や失明リスクが増大してしまうという。

網膜への刺激に対して現状のアプローチ方法としては、医療においては加齢黄斑変性症に代表されるような網膜疾患への治療行為をとることができる。また食品では、ルテインやアントシアニンを含むものを摂取し、色素を補充することも有効とされている。しかしながら、免疫調節ができるものは開発されておらず、網膜に受けたダメージ(炎症)を抑えられるような免疫を介したアプローチができるようになることが今後の課題として考えられるという。

老化も目のダメージの原因に

目へのダメージは老化によっても引き起こされる。目には「水晶体の硬化」「神経細胞死」といった2つの老化現象が起こる。老化によって目の中にダメージを受け、炎症が蓄積されてしまうと、目の細胞が死んでしまったり機能しなくなったりしてしまうとのこと。

日々、外界の刺激にさらされ、ブルーライトや老化といった原因により発生する目のダメージを抑える免疫からのアプローチができれば、目の問題を解決する一助となりえると松本院長は締めくくった。

KW乳酸菌で免疫を介した目へのアプローチ

続いて、キリンホールディングスの森田悠治研究員が、KW乳酸菌の目における新たな発見について発表した。

  • キリンホールディングスの森田悠治研究員

免疫は筋肉や脂質代謝、感染症など体全体のさまざまな不調とかかわりがあり、目の問題もその一つと言える。今回の発表テーマであるKW乳酸菌は、2000年より免疫領域の研究の中で見出された乳酸菌で、ブルーライトによるヒト網膜細胞死を抑制する効果が認められたという。

  • KW乳酸菌がヒト網膜細胞死を抑制する

非臨床試験ではあるが、KW乳酸菌の摂取によりブルーライトの影響が軽減された結果、視細胞の死滅が抑えられて視細胞の層が厚く維持されたままになっていることが確認された。KW乳酸菌を摂取したほうが、摂取しない場合に比べて視機能も維持されるという。ヒトが摂取した場合の実験においては、目の疲労感の軽減や、目に疲労感があった人の肩こりや腰のこりが有意に軽減されたという。

  • 非臨床試験ではあるが、KW乳酸菌の摂取によりブルーライト由来の視細胞の死の抑制が確認された

  • 視細胞の死滅を抑制するほか、疲労感の軽減を実感する声もあった

これまで目のケアをするにあたっては、目薬による角膜のケア、ブルーベリーやルテインなどの色素補充による黄斑・網膜のケアというアプローチがあった。KW乳酸菌は、免疫を介した内側からのケアで網膜にアプローチできる方法としてその重要性があると報告された。

KW乳酸菌の今後の可能性

最後に、KW乳酸菌について今後どのような可能性が秘められているのか、国立医療研究センター研究所の丸山光生副所長が解説した。

  • 国立医療研究センター研究所の丸山光生副所長

日本は長寿大国と言われているが、単純に寿命が長ければよいというものではなく、日常生活を制限なくおくれる健康寿命を延ばすことが重要なポイント。KW乳酸菌は網膜の神経細胞や視細胞の死を抑制するため、目の老化を緩和させる可能性があることを国立医療研究センター研究所での研究でも確認できたという。

  • KW乳酸菌は目の老化だけでなく、調などさまざまな老化現象へのアプローチが期待できる

目の老化だけでなく、それ以外にも効果はないのかを検討したところ、腸の老化に関しても、進行を緩和させられるかもしれないという。KW乳酸菌は、免疫によるさまざまな炎症の抑制効果に着目すると、今後さまざまな老化現象の緩和する可能性があると話した。

このKW乳酸菌を配合したサプリメントで機能性表示食品「iMUSE eye KW乳酸菌」(税込3,311円)は11月14日に販売開始。「iMUSE」ブランドではこれまで、プラズマ乳酸菌の商品を展開してきたが、今後は「KW乳酸菌」も含めて展開していく。