中国政府は、米国の科学技術への依存度をやめるという目標を掲げてさまざまな施策を実行に移しているが、10月22日、半導体デバイス製造および関連産業に投資するために3兆円規模の国家支援基金を正式に創設し、11月より本格的に投資を始めると中台の複数のメディアが伝えている。

このファンドは、「国家集積回路産業投資基金第2期(National Integrated Circuit Industry Investment Fund Phase II Co.Ltd.)」である。「第2期国家大基金(National Big Fund Phase II)」という通称で呼ばれることが多い。第2期国家大基金の登録資本金は2041.5億元(289億ドル、3兆円余り)規模で、5年前の2014年に始まった第1国家大基金(登録資本金987億元)に比べて2倍以上の規模になっている。

この基金の筆頭株主は中国財務省で225億元(31億8,000万ドル)出資している。株主には、このほか、国海金融、中国国家たばこ、中国電信、および地方人民政府投資ファンド始め多数の中国企業が含まれており、第1期よりも多彩となっている。

中国財務省は11.02%で最大のシェアを保持し、国海金融は10.78%、中国国家たばこや重慶の戦略的新興産業株式投資ファンドなどがそれぞれ7.35%を保有している。

第1期大基金は、当初の調資金調達計画である1,200億元(1698億ドル)を15.6%超える1,388億元余り(196億ドル)を調達し、中国最大の産業投資ファンドとなったが、第2期はこの2倍以上の資金調達が実現する見込みである。第1期ファンドは、80近い半導体プロジェクトと55の半導体企業に投資された。

日本政府による対韓半導体・ディスプレイ向け素材3品目輸出規制に対処するため、韓国政府は素材・部品・製造装置の国産化を国策として推進している。中国もこれを他山の石として同様の政策を強化し、半導体エコシステムを構築する方向で、今回の第2期大基金は集積回路メーカーだけではなく、半導体素材および製造装置(エッチング装置、CVD装置、洗浄装置、露光装置、CMP装置、リソグラフィ装置、テスト装置など)の国産化開発に取り組んでいる企業に相当な金額が投資される可能性が高いと台中半導体産業関係者は見ている。

米国のトランプ大統領は、半導体自給自足を目指す「中国製造2025」を目の敵にして様々な対中規制をかけてきたが、「中国製造2025」目標実現を目指して今回新たに発足したファンドに対してもアンフェアとして強硬な対抗策をとり米中貿易紛争が悪化することが懸念される。