上手に休むには、習慣化が大切

――積極的に休みを取るためには、そういった意識付けが大事ですね

これだけ休息の重要性を提唱している私でさえ、ちゃんとお休みが取れるように、訓練している最中なんですよ。私は常に忙しく動いていたいタイプです。私と同じように、日本人は訓練をしないと、休み方改革も、働き方改革も難しいと思います。

例えば週末は、遊びの予定を入れないと気が済まない気質だけれど、意識して午前中は何も予定を入れないとか、あまり濃密にならないようにしています。

それから金曜日にはお花をいけて、「週末が来るぞ」という意識を作っています。しかも絶対に続けられるように、家にお花が届くようにしました。

最初はお花を買いに行っていたのですが、「今日は疲れてしまった」「雨が降っている」などの理由で、習慣にできなくて……頭では分かっていても、何もしない方が楽だから、続かないんですよね。

訓練だと思って、半強制的に続けられる仕組みを作ることが大切です。そうやって休むことを習慣にしていくと良いですよ。

――休みがあっても何をしたらいいか分からないという人もいると思うのですが

例えば、映画館やゴルフの打ちっぱなし、バッティングセンターに行くなど、内容は何でもいいし、一人でもいいから、普段とは違うことをやってみてはいかがでしょうか。

「非日常」でしか、気持ちの切り替えようがないと思うんですよね。普段の生活は、タイムスケジュールの中できれいに完結しているので、それ以外のことはできにくいと思います。普段やらないことをやるのが大事です。

――お金がなくて休暇を満喫できないという方もいらっしゃいます

日本人は休みの日にお金を使うことを考えがちだと思います。でも、お金を使わなくても、非日常は体験できますよ。例えば、ティーポットでゆっくりお茶を入れてみるとか、1時間ティータイムを持ってみるとか。お風呂でキャンドルライトをつけてみるのもいいですね。

それから家族で過ごす時間にも工夫ができます。結婚すると急に恋人どうしから「夫」と「妻」になってしまうけれど、例えばたまにはお花を買って帰るとか、特別感のあることをしてみてもいいですよね。

一緒に家事をしたり、それぞれ別のことをしていても一緒の空間で過ごしたり、食事の間はスマホやテレビを禁止にして他愛のない会話を楽しんだり……仕事が忙しく、家が寝るだけの場所になっている人にとっては特に、大切な時間になると思います。

働くのも休むのも、自分を基軸に考えて

ただ、これだけ休め休めと言っていますが、何もただ一律に休めと言っているのではなくて「自分ファースト」の視点を持つことが重要です。

例えば「どうしてもこの仕事で成果を出したい」と思ったときには、仕事に打ち込んだら良いと思います。自分の健康状態が保てていない、仕事で良いパフォーマンスを出せそうにない、そう思ったら休めばいい。自分にとってのゴールは何なのか、今、何をすることが必要なのか、考えることが大事なんです。

自分のために考える時間を持てなければ、日々に追われてしまいます。自分を基軸に考える”習慣”を持つことで、自然とワークライフバランスは整っていきますよ。

『fika 世界一幸せな北欧の休み方・働き方』(芳子ビューエル著/キラジェンヌ社)

仕事も家庭も、素敵な「休息」があなたの人生を変える! 毎日が慌ただしいと感じる人たちにおくる"北欧流のゆったり過ごすライフスタイル"を提唱する一冊!
その著作『世界一幸せな国、北欧デンマークのシンプルで豊かな暮らし』においていち早く"ヒュッゲ"を日本に紹介した、北欧流ワークライフデザイナーとしても活躍する芳子ビューエルさんの最新刊。北欧・スウェーデンにある「fika(フィーカ)」という習慣を通して、毎日が忙しく過ぎていく全日本人に捧げる「休み方改革」を提唱する一冊です。
これからの時代の働き方や仕事について見つめ直すために、改めて休み方について考えてみませんか。