日本全国、世界各国の水産品などが集う国内最大規模の国際見本市第21回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」が8月21日~23日にかけ、東京ビックサイトで開催された。活気あふれる会場では、各地域の水産物や各社の最先端加工機械を関係者らが見学。その舌で試食品の味を楽しんでいた。
卵より質の高いスケソウダラのタンパク質
世界中から自慢の水産物や加工機械、加工技術が集まるジャパン・インタナショナル・シーフードショー」。日本の水産業界の大手も出展を行っており、日本水産(以下、ニッスイ)ブースでは「スケソウダラのタンパク質の筋肉増加効果について」のセミナーが行われていた。
ニッスイの食品機能科学研究所で研究を行っている内田氏は、スケソウダラのタンパク質の“質”を「卵を100としたとき、スケソウダラは104。取り込んだうちの97%が体に利用される」と解説。「筋繊維にダメージを与えることなく、食べるだけで運動後と同じように筋力増加が見込める」と語る。
とくに瞬発的な力に関わる「速筋」に影響が強く、加齢に伴い速筋が減少がちなお年寄りや、脂質や糖質を抑えつつ筋力を維持し体重を減らしたいボディビルダーや女性などに効果的であると説明した。
このスケソウダラのタンパク質を手軽に摂取できるのが、同社の「おさかなミンチ」だ。ひき肉上にした白身魚をパラパラに冷凍してあり、冷凍庫から出してすぐに利用できるため、たんぱく質が不足しがちな朝食などにも利用しやすいという。「毎日の食習慣に1品加えて、“食ササイズ”を」と内田氏は研究結果をまとめる。
日本全国の注目の水産加工品も展示
会場ではさまざまな新商品も展示されている。東洋水産ブースでは燻製にした“たらこ”を炙って一口サイズにした「炙り燻製たらこ」を出展。新しいお酒のおつまみとして展開予定だ。鳥取の門永水産ブースでは、紅ズワイがにとにんにくを使った「かにみそバーニャカウダ」を紹介。トーストやパスタ、生野菜などの組み合わせをアピールしていた。
愛媛の宇和島プロジェクトブースでは、宇和島水産高校や城南中学校などのアイデアで作られた災害備蓄缶詰「鯛じゃが缶詰」などが注目を集めていた。また宮崎の株式会社 器ブースでは宮崎海洋高校と共同開発されたフカとニラの缶詰「勝甲春(かつかいしゅん)」を展示。日本の未来の解散品を支えるであろう学生たちの活躍を見ることができた。
鯨肉専門店はラインアップを強化
31年ぶりの商業捕鯨再開に合わせ、鯨肉を取り扱う専門店も食文化復活に向けた取り組みを行っていた。東冷ブースでは定番の大和煮を食べやすくした「くじら大和煮フレーク」や「さらし鯨」を展示。宮城の木の屋石丸水産ブースでは「鯨の炙り焼き」や「くじらとラー油が出会ったから」などの新商品を開発していた。
活用シーンが増える水中ドローン
水産向けの機器が集まるエリアでは、水中ドローンがその数を増やしていた。スペースワンブースでは4Kカメラを搭載した「GLADIUS mini (グラディウス ミニ)」を実演しており、その機能と20万円を切る価格で来場者の足を止めていた。水中ドローン社ブースでは、台風後の海中調査で活躍しているという「BlueROV2」が実演されていた。
6月には日本水中ドローン協会も設立されており、水中ドローンの安全な運用や水難救助での利用に向け、人材育成や補修・点検の確立、新規事業や操縦資格に向けた取り組みを行っているという。
会場では養殖マグロやウナギ、各種缶詰や加工品などの試食も頻繁に行われており、水産の「今」を眼だけでなく舌でも味わうことができた。海洋国家である日本にとって、水産物は重要な資源であり食文化。世界との交わりによって更なる発展を期待したい。