7月24日、第50期新人王戦準々決勝の増田康宏六段―黒沢怜生五段戦が行われ、増田六段が勝って今期ベスト4一番乗りを果たしました。

同期生対決に完勝

新人王戦3回目の優勝を狙う増田六段

本棋戦は26歳以下かつ六段以下でタイトル戦未経験の棋士全員と、女流棋士4人、アマチュア主要棋戦の赤旗名人戦優勝者、三段リーグ成績上位者数名が参加し行われる若手棋戦。40人がトーナメント形式で優勝を争います。

24日の対局は両者とも2014年度前期の第55回奨励会三段リーグで四段昇段、プロ入りを勝ち取った「同期生対決」。増田六段の先手で始まり、後手の黒沢五段が得意戦法である、序盤に飛を角の横のマスまで移動させる「振り飛車」の一種、「三間飛車」を採用し、増田六段は玉を固く囲い、中央にふくらみのある陣形を築いて攻撃のチャンスをうかがいました。黒沢五段が攻めの銀を前線に繰り出す動き合わせて増田六段が仕掛けを敢行し、ペースを握ります。黒沢五段も敵陣の裏口である端から増田玉の攻略を試みますが、頑強に受けた増田六段が優位を拡大し、そのまま押し切りました。

棋王戦で2017、2018年度の第43期、第44期で連続してベスト4入りを果たしている実力者・黒沢五段は力を出せず、無念の敗退。

増田六段は現在21歳。プロ入り以来の通算成績は159勝67敗[0.704]。その好成績もさることながら、プロアマ問わず昔から指し継がれている戦法である「矢倉」について「矢倉は終わりました」、終盤力や読みの力をつけるために有効な勉強法とされる「詰将棋」について「詰将棋は意味がない」など、歯に衣着せぬ発言が大きな反響を呼び、また最近ではネットTVでのわかりやすい解説でファンも多い関東期待の有望株です。

若手棋士の登竜門という位置付けで、優勝者から多くのタイトルホルダーが出ている本棋戦においては2016、2017年度の第47期、第48期で連続優勝を達成しています。今期優勝し累計3回となれば、森安秀光九段(故人、第4、6、8回)、森内俊之九段(第18、22、24回)、藤井猛九段(第27、28、30回)に次ぐ4人目の快挙となります。

次戦の相手は大橋貴洸四段―赤旗名人・早咲誠和アマ戦の勝者です。