オカモトは6月3日、2019年度コンドーム事業戦略を発表した。当日は2020年のインバウンド需要の増加を見据えて、性感染症予防の取組を強化し、日本初「ビバジェル(VivaGel)つきコンドーム」とコンドームにデザインをプリントした「デザインコンドーム」の2種類のコンドームを新発売することが明らかにされた。

  • 発表会ではコラボレーション楽曲を披露

    事業戦略発表会に参加したオカモトの田村俊夫代表取締役社長(左)とサンプラザ中野くん(中央)、パッパラー河合さん

同社の田村俊夫代表取締役社長は「皆様のご支持を得られたおかげで85周年を迎えられた」と述べ、「コンドームは避妊具だけのイメージではなく、性感染症の予防という側面でも認知を広げ、社会に貢献したい」とコメントした。

  • 登壇した田村俊夫代表取締役社長

    登壇した田村代表取締役社長

公益財団法人エイズ予防財団の白阪琢磨理事長は、性感染症の現状について解説した。「HIVは横ばいが続いており、エイズになるまで検査を受けない人が約3割にものぼる。梅毒も若い女性の世代でも急増しており、梅毒に感染するとHIVにも感染しやすくなる」と述べ、「コンドームは今でも性感染症予防の最強グッズ。避妊だけではなく、予防意識を持ってほしい」とコンドームの使用を呼びかけた。

  • 性感染症の現状について解説する白阪理事長

    性感染症の現状について解説する公益財団法人エイズ予防財団の白阪琢磨理事長

続いて、新たに展開する製品のお披露目がなされた。

「ビバジェルつきコンドーム」は日本で初めてビバジェルをコンドームに塗布したもの。商品名は「003+ビバジェルコンドーム(仮)」で、希望小売価格は税別2,000円、内容量は10コ入り。2019年10月10日の発売を予定している。

ビバジェルとは、オーストラリアのスターファーマー社が開発したジェル剤。ジェルに0.5%配合されている「SPL7013」という活性物質がASTM E1052準拠試験においてHIVとHSV(ヘルペス)に対して抗ウイルス作用が確認されている。(ただし、臨床における抗ウイルス作用は確認されていない)。

通常のコンドームでもゴム膜の遮断効果により、性感染症の予防は可能だ。ただ、日本ではコンドームは「避妊」だけを意識する人が多く見受けられ、このような商品を販売することにより、「性感染症の予防」という観点から予防意識の向上に寄与するとしている。

  • 性感染症の予防に効果のある「ビバジェルつきコンドーム」

    性感染症の予防に効果のある「ビバジェルつきコンドーム」を販売するという

もう一つの新製品「デザインコンドーム」は、表面にイラストや文字などのデザインのプリントを可能にした商品。以前よりコンドームに対して羞恥心を抱いてしまい、購入や使用がしづらいという声があったとのこと。

そこで今回、急増している訪日外国人客に向けた「ジャパニーズカルチャー」を意識した浮世絵のデザインや、「プレゼント」「イベント」「ネーム」「コラボレーション」などの興味や関心を持てるデザインをプリントすることで、「コンドームがより身近な使いやすいものになっていくのでは」と、この技術を開発したという。

商品名や内容量は未定だが、すでにコンドーム専門店「コンドマニア」での取り扱いが決定しており、コラボレーション製品を今夏に販売予定。訪日外国人や若者にも人気のカプセルトイでの販売および、オリジナルデザインの受注も予定している。

  • コンドームにデザインをプリントした「デザインコンドーム」

    コンドームにデザインをプリントした「デザインコンドーム」

また、オカモトは2015年に設立した「オカモトラバーズ研究所」において、コンドームの着用率を上げるための啓発活動を実施しており、毎回ユニークな解決策をプロジェクト形式でアップしてきた。

同日は、このプロジェクトに共感したHIV/エイズの啓発活動へ協力しているミュージシャンのサンプラザ中野くんと「勇気を身に着ける」コラボレーション楽曲「岡本と友だち(感動無限大∞)」を制作。発表会において、その楽曲が披露された。

  • オカモトラバーズ研究所ミュージックアンバサダーに就任しているサンプラザ中野くん

    オカモトラバーズ研究所ミュージックアンバサダーに就任しているサンプラザ中野くん