西山朋佳女王に里見香奈女流四冠が挑戦する第12期マイナビ女子オープン五番勝負第3局が5月14日、さいたま市「桜茶屋」で行われ、里見女流四冠が勝ってシリーズ成績を1-2としました。
第4局は里見の戦法選択にも注目
互いに「振り飛車党」の両者。第1局は大方の予想通り「相振り飛車」へと進みましたが、第2局は先手の里見女流四冠が「居飛車」を選択し「居飛車対振り飛車」の対抗型となりました。敗れたものの幅の広さを見せた里見女流四冠の戦法選択にも注目が集まりましたが、あとのなくなった本局は頼れる相棒「振り飛車」を選び、西山女王も飛車を振って第1局と同じく「相振り飛車」へと進みました。
将棋は中盤、先手の西山女王が小気味よく次々と歩を突き捨てて攻勢を取りましたが、里見女流四冠が的確に対応。優位を築くと、西山女王が終盤の入り口で勝負手を逸してからは堅実な指し回しで確実にリードを広げ、最後は得意の終盤力を発揮し西山女王の玉を大駒捨ての華麗な即詰みに討って取りました。
女流タイトル戦登場40回(※今回の本棋戦五番勝負と、進行中の第30期女流王位戦五番勝負を含まない)のうち、敗退したのはわずか5回で、しかもストレートでの敗退はこれまで1度もないという抜群の安定感を誇る里見女流四冠。本棋戦は西山女王の勢いに押され、初のストレート敗退も、という懸念もありましたが、ここ一番で踏みとどまった格好です。
西山―里見。現役奨励会三段と女性初の奨励会三段という女流最高カードの五番勝負は、挑戦者が待望の1勝を挙げ、がぜん勝負の行方がわからなくなってきました。女王が決めるか、背水の挑戦者がタイに戻すか。先手番の第2局で居飛車を選択した里見女流四冠の戦法選択からも目が離せない次局第4局は22日、東京都渋谷区「東京・将棋会館」で行われます。