第32期竜王戦ランキング戦4組3回戦の中田宏樹八段―藤井聡太七段戦が3月27日、東京・将棋会館で行われ、藤井七段が勝って準決勝に進出しました。
自身の昨年度勝率を上回る
1991年度の第32期王位戦でタイトル挑戦の経験がある実力者・中田八段に大苦戦を強いられた藤井七段でしたが、最終盤に大切な守りの銀を相手にタダで差し出す勝負手を放ちました。厳密には形勢は覆っていなかったようですが、持ち時間が少なくなっていた中田八段が対応を誤り、大逆転で藤井七段の勝利となりました。
年度最後の対局を勝利で締めた藤井七段はこれで今年度勝率を45勝8敗の[0.8490](※未放映のテレビ棋戦を含む)とし、昨年度に自身が記録した61勝12敗の[0.8356]を上回るとともに、中原誠十六世名人が1967年に記録した47勝8敗[0.8545]、中村太地七段が2011年に記録した40勝7敗[0.8511]に続く歴代第3位にランクインしました。ちなみに、もし敗れていると勝率は[0.8302]で、昨年の結果を上回れないところでした。
昨年度、「対局数」「勝数」「勝率」「連勝」の記録4部門を、それぞれ73局、61勝、[0.8356]、29連勝で第1位独占を達成した藤井七段でしたが、今年度は「対局数」が53局で第4位、「勝率」が第1位、「連勝」が最高のものが10連勝で9位タイとなりました。「勝数」は45勝で、1位で並ぶ、年度内の対局を残している佐々木大地五段の対局結果次第で、第1位タイもしくは第2位となることが確定しています。「対局数」の第1位は64局で広瀬章人竜王、「連勝」の第1位は15連勝で渡辺明竜王となりました。
若手棋戦はすでに参加資格を失い、全棋士参加棋戦においても、次第に予選の下のほうからの参戦が少なくなることが予想される藤井七段。必然、これからは各棋戦の1回戦、2回戦からタイトル保持者、経験者などの強豪棋士とぶつかることも珍しくなくなってくるでしょう。今年度、すでにその傾向は現れている中で、昨年度の勝率を上回ったのは素晴らしいことと言えましょう。
高校は春休み、そして年度最後の対局を苦しみながらも「勝負手の銀」で制し、そして3月31日には大好きな詰将棋のイベント、5連覇が懸かる「詰将棋解答選手権チャンピオン戦」が行われます。リフレッシュして迎える2019年度、藤井七段はファンにどんな「飛躍」を見せてくれるでしょうか。