「CSR」と「PL法」は、どちらも企業が果たすべき責任についての言葉です。その違いについて、解説していきましょう。

  • CSRとPL法の「意味の違い」を理解していますか?(写真:マイナビニュース)

    CSRとPL法の「意味の違い」を理解していますか?

広い社会への責任がCSR

CSRとは、【Corporate Social Responsibility】の略で、そのまま和訳すると「企業の社会的責任」になります。

あらゆる企業活動は、多くの関係者のもとで成り立っています。仕事をする従業員、商品・サービスを購入する顧客、原料や部品の仕入れ先、自社の株式を保有する投資家、事業所がある地域の行政と住民、そして日本と国際社会。

事業活動が拡大すればするほど社会的な影響力は高まり、ステークホルダー(利害関係者)の数が増えていきます。こうした関わりのある人と社会に対して、企業が責任を持つことがCSRです。

働き方改革によって、従業員が心と身体を病むことなく働けるような環境にする事もCSRですし、投資家に対して自社の経営状況をきちんと伝え、説明責任を果たす事もCSRです。

ISO26000(社会的責任のガイダンス規格)が定めたCSRの中核課題は、「企業統治」「人権」「労働慣行」「環境」「公正な事業慣行」「消費者に関する課題」「コミュニティおよび開発」の7つです。

CSRが注目されたきっかけ

CSRが世界的に注目されるようになったきっかけはいくつかあります。粉飾決算や偽装表示、データ改竄といった「大企業の不祥事」が頻発していること。規制緩和により電気や水道といった「公的サービスの民営化」が進んだこと。大規模な気候変動など「環境問題」が深刻化していることなどです。

企業がCSR活動に取り組む短期的なメリットとしては、「消費者に対するイメージ向上」や「従業員満足度の向上」などがあります。CSRは企業の信頼構築につながり、株価にも影響を与えるのです。

【例文】
「パワハラの防止もCSRに入ると研修で習った」
「10人規模の小さな事務所でもできるCSRはあるんだろうか」

メーカーが消費者に持つ責任がPL法

PL法とは「製造物責任法」の事で、PLは【Product Liability】の略です。CSRのResponsibilityは自発的な責任を指しますが、PL法のLiabilityは法的な責任をいいます。PL法はCSRと比べて、より強い「義務」なのです。

PL法は、商品の欠陥で消費者に損害が生じた場合、製造者に賠償責任を負わせると定めています。日本では1995年に施行されました。

発火するブラウン管テレビや爆発する電子レンジなどの欠陥商品から、消費者を保護することが法律の目的です。やけどをするような身体的損害や、家が燃えるような財産的損害を受けたとき、商品の欠陥が原因ならば、メーカーはその責任を負って損害賠償をしなければなりません。

消費者といっても個人だけが対象ではありません。企業が部品や加工機械などを購入し、その欠陥によって被害を受けた場合も、PL法に基づいて賠償請求をすることができます。 PL法の責任を負うのはメーカーや加工業者だけでなく、輸入業者も対象です。製品の出荷から10年間が、法律の範囲となります。

ちなみに、この法律は「かたちある人工物」のみが対象です。電磁波などの無形のものや、ソフトウェアといった情報製品は対象になりません。自然産物である農産物や水産物なども対象外です。

【例文】 「PL法でも、間違った使い方をして起きた事故は守ってくれないよ」
「家はPL法ではなく『品確法』の対象です」