里見香奈女流名人に伊藤沙恵女流二段が挑戦する第45期女流名人戦五番勝負第3局が2月10日、千葉県野田市「関根名人記念館」で行われ、伊藤女流二段が勝ってシリーズ成績を1勝2敗としました。

対里見女流名人戦の連敗を10でストップ!

待望の1勝を挙げた伊藤女流二段。次局を制すれば初戴冠も見えてくる

伊藤女流二段は、参加者の大多数を男子が占める「小学生名人戦」で第3位に入賞し、その後奨励会に入会。プロ四段を目指し修行の道に入りましたが、残念ながら2014年に退会、女流棋士になりました。

女流棋士になってからの成績は93勝39敗、勝率[0.7045]と極めて良好(※2月12日現在)、タイトル戦にも4年あまりの間に今回を含め6回出場、特に昨2017年度には6つある女流タイトル戦の4つで挑戦権を獲得しましたがいずれも敗退、タイトルには手が届いていません。

伊藤女流二段にとって大きな壁となっているのは、今回の相手である里見女流名人。実はこれまでの5回の挑戦のうち、初登場となった2015年度、第5期女流王座戦五番勝負のみ加藤桃子女流王座(当時)が相手でしたが、昨年度の4回の挑戦はすべて里見女流名人が相手で、伊藤女流二段にとっての「天敵」となっているのです。

両者の番勝負での成績は以下の通り(番勝負終了順)。

2017年度

★第28期女流王位戦五番勝負

里見 3-2 伊藤

★第39期女流王将戦三番勝負

里見 2-0 伊藤

★第25期倉敷藤花戦三番勝負

里見 2-0 伊藤

★第44期女流名人戦五番勝負

里見 3-0 伊藤

本局まで、他の対局を含めた通算成績でも伊藤女流二段の3勝、里見女流名人の13勝と大きく水をあけられてしまっていました。里見女流名人は他に女流王座、女流王将、倉敷藤花を保持する四冠、第一人者であることを加味しても大差と言えるでしょう。特に直近10局は全敗、まさかの10連敗で本局を迎えていました。

本シリーズも里見女流名人が2-0と防衛まであと1勝と迫り、誰もが今回も苦しいかと思ったところで、伊藤女流二段が踏みとどまった格好です。

悪い流れを断ち切った伊藤女流二段ですが、悲願の初戴冠まではあと2勝が必要です。18日に東京都渋谷区「将棋会館」で行われる第4局、その礎となる1勝を挙げることができるでしょうか。