公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は2月8日、ダイバーシティ&インクルージョン(以下 D&I)の推進に向けて、アスリート委員会による「D&I宣言」を行った。

  • 「D&I宣言」にサインをしたアスリート委員会。前列右から2番目がアスリート委員会 委員長の高橋尚子氏。前列右から3番目が組織委員会 会長の森喜朗氏

    「D&I宣言」にサインをしたアスリート委員会。前列右から2番目がアスリート委員会 委員長の高橋尚子氏。前列右から3番目が組織委員会 会長の森喜朗氏

D&Iとは?

3月12日で開催まで500日となる2020年の東京オリンピック・パラリンピック。同大会ビジョンのコンセプトの中には、「多様性と調和」というものが掲げられている。これを実現すべく、組織委員会にD&Iを推進するプロジェクトチームが設立されたのが3年前のこと。

ダイバーシティは「多様性」「一人ひとりの違い」、インクルージョンは「包括・包含」「受け入れる・活かす」という意味をそれぞれ持っている。多様な人々が互いに理解し、その多様性を尊重するからこそ、個々の人材が力を発揮できる。それが、組織委員会が実現していく東京2020大会の姿であるという。

プロジェクトチームは、選手だけでなく、観客および大会関係者にもD&Iの考え方を共有し、日本社会にD&Iの考え方を財産として根付かせていくことを目指している。

具体的な取り組みとしては、D&Iハンドブックの作成・配布、サポート研修などが実施されている。セクシュアル・マイノリティへの取り組みを評価する「PRIDE指標」に応募し、賞を受賞するなど、活動の成果も現れ始めているとのこと。

昨年12月には組織委員会がD&I宣言を行っていたが、このほどアスリート委員会もこの取り組みに賛同し、D&I宣言を実施。今後の取り組みに協力していく姿勢を示した。

  • D&I宣言のポスターにサインをする高橋尚子氏
  • D&I宣言のポスターにサインをする高橋尚子氏

    D&I宣言のポスターにサインをする高橋尚子氏

アスリート委員会の委員長を務める、シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子氏は、「アスリートは世界中で戦っていく中で、人種など関係なしに魂で戦ってきた経験があるので、こうした(D&Iの)思いには強い賛同をもらえるのでは」とコメント。大会へ向けて、また大会後のD&Iの広がりにも期待を込めた。

この日はD&I宣言のほかに、東京2020大会の準備状況などが報告される場面も。

同大会では、電子機器などを回収して、いわゆる都市鉱山から大会メダルを作成する「みんなのメダルプロジェクト」を実施してきた。メダルの作成に使用する金、銀、銅それぞれの必要量が3月末までに集まる見込みが立ち、同プロジェクトは3月末で終了する計画だという。

組織委員会の会長である森喜朗氏いわく、聖火ランナーのコースも「微調整していて、間もなく発表できる見込み」とのことで、会場などの準備も順調に進んでいるという。組織委員会では大会の成功だけでなく、収支均衡で会場などが後に残る大会を実現するべく、準備を進めていく考えを示している。

アスリート委員会は、2月から公募が始まる「みんなのスポーツフェスティバル」も主催しており、その内容についての報告と意見交換も行われた。同イベントは基本的に学校の運動会向けに開催されるものであるが、「企業の運動会も対象にできないか」「表彰にアスリートが参加できないか」といったコメントも寄せられ、そうした点も踏まえて組織委員会は募集要項を固める意向だ。