台湾TrendForceは、データセンターのサーバ向けCPUに関する動向調査を実施。その結果、2018年もx86がサーバCPUの主流アーキテクチャであり、引き続きIntelが全世界のサーバCPU出荷数量の約98%を占めてほぼ独占状態にあるが、2019年は、AMDがTSMCに製造委託している7nm CPUが、市場に出回るため、AMDのx86サーバCPUのシェアが5%程度にまで高まる見通しであるとの見解を公表した。

TrendForceのシニアアナリストであるMark Liu氏は「Intelが今後もサーバCPU市場のリーダーであり続けるのは間違いない。しかし、AMDは、Intelよりも微細なプロセスへ移行し、より優れた性能と低消費電力を提供しようとしており、来年以降、Intelとの競争が激化するだろう。AMD製品は、Baidu、Ali Cloud、AWSなどのクラウドサービスプロバイダーがすでに採用している」とコメントしており、需要次第では、AMDが7nm製品が発売した直後に大量生産を開始する可能性もあると指摘している。

Purley Gen2登場も前世代と同じ14nmプロセス

TtrendForceの最新の調査によると、IntelのPurley Gen1(Sky Lake)に基づく製品群の市場浸透率はすでに、高性能コンピューティングサーバー製品を必要としているクラウドサービスプロバイダーあるいは類似の企業を中心に60%に達しており、2018年末には65%に達する見込みだという。

2019年は、Gen1同様に14nmプロセスを採用したPurley Gen2(Cascade Lake)が生産されることになっている。これまではIntelがプロセスの微細化の先頭を走っていたが、最近はTSMCがコマーシャル的なプロセスとしては先行してり、14nmを切る微細プロセスを採用したIntel製品は2019年下半期までに市場の主流になることはない見込みである。ただしカスタマイズされたプレミアム製品としてIntelは2019年にCascade Lake Xeon-AP(Advanced Performance)をリリースする予定である。現在、この製品群は検証段階にあり、小規模な市場リリースは当初の予定より遅れて2019年末になる見込みである。

7nm採用のAMD新サーバ向けプロセッサが近々登場

一方のAMDの製品群の約70%は今年、前世代の28/32nmプロセスから14nmプロセスに移行し、コンピューティング性能が向上した新ブランドEPYCに移行した。しかし、それでも同社は現在、サーバCPU市場で、約2%のシェアしか確保できていない。

さらに同社は7nmプロセスの「ZEN2」ベースのサーバ向けCPU「Rome」を2019年第1四半期にも生産を開始する計画だ。この7nmプロセス製品を製造するのは、これまでの協業先であったGLOBALFOUNDRIES(GF)が7nmの開発を無期延期したため、TSMCへと切り替えており、これに伴い、低消費電力化なども図られることが期待されており、早ければ下期には市場に出回ってくることが見込まれる。

  • AMDのデータセンターサーバ向けCPUのロードマップ

    AMDのデータセンターサーバ向けCPUのロードマップ (出所:AMD)

なお、TrendForceは、新プラットフォームの普及により、サーバの1ボックスあたりの平均コンテンツが増加する可能性があると指摘している。また、サーバのDRAM平均搭載容量は、2018年には前年比40%増となったが、2019年にはそれよりも低い25%程度の成長率になるとも予測している。