人々が「スマホ」ではなく「ケータイ」を使っていた2000年初頭。2003年にKDDIがリリースした"デザインケータイ"「INFOBAR」は、既存の携帯電話と一線を画したルックスで注目され、一躍人気機種となった。

2018年、その最新機種「INFOBAR xv」が登場する。これまでもINFOBARブランドのスマートフォンは発売されてきたが、今回の新機種はタッチパネルではなく十字キーとテンキーで操作する、まさに"あの頃"のケータイ感覚で使える一台となっている。今夏行われた同機種のクラウドファンディングは約1200万円を集めるなど、INFOBARには今も根強いファンがいるのが見て取れる。

現在21_21 DESIGN SIGHT(ギャラリー3)で行われている展示会「新・ケータイ INFOBAR 展」で、初代のデザイン秘話や、「今、あえて"デザインケータイ"をリリースした狙い」を聞いた。

会場はこちら。21_21 DESIGN SIGHTのメイン展示とは入り口が異なる。

INFOBAR「幻のカラバリ」公開

初代INFOBARの発売日である10月31日から始まった「新・ケータイ INFOBAR 展」。ここでは、数あるINFORBARシリーズの中から、初代INFOBARと新機種のxvの2機種にフォーカスし、デザインにまつわる資料が展示されている。

初代INFOBAR
採用されなかったカラーバリエーション。内覧会に出席したKDDI・砂原哲氏によれば、さくら、ひまわりなどをイメージした色合いが試作されたという。
初代INFOBARの箱とショッパー(紙袋)。象徴的な「ニシキゴイ」カラー。
当初タイルは全5色構成だったが、量産の関係上3色に減らし製品版の配色になった。

今こそケータイが求められている

INFOBAR xv(NISHIKIGOI)
INFOBAR xv(NASUKON)
INFOBAR xv(CHERRY BERRY)

INFOBAR xvに関しては、深澤直人氏の直筆スケッチや、今年7月に同機種の発表を行った際展示したモックアップ、クラウドファンディングの支援者に贈る専用ケースなど、製作過程が伺える資料や、INFOBARらしさにこだわったアイテムが展示されている。

深澤直人氏によるINFOBAR xvアイデアスケッチ
INFOBAR xvのSIM取り出しピン。本体を模したかたちに遊び心を感じる。
クラウドファンディングのリターンであるINFOBAR xv専用ケース。マルチケースとしてではなく、本体がぴったり入る寸法に設計されている。

発売が告知されて以降、INFOBAR xvの実機がまとまって一般展示されたのはこれが初めて。つまり、実物に触る機会がこれまで得られなかったにも関わらず、すでにKDDI側が想定した以上の数の予約が集まっているという。

実機はカラーバリエーション3台分だけでなく、複数展示されているため、ゆとりをもってタッチアンドトライできる。十字キーで移動し、中央のボタンで確定するインタフェースは、スマホに慣れた身にはかなりノスタルジックに感じた。

懐かしさを感じたのはハードウェアの作りだけではなく、ソフトウェア面のデザインにもあると語ったのは、KDDI プロダクト企画部の美田惇平氏。それもそのはずで、メインメニューのアイコンやアニメーションは、2007年発売の「INFOBAR2」のデザインを踏襲している。

INFOBAR xv メニュー画面。選択時のアニメーションは技術上再現がやや困難だったとのことだが、旧機種との使用感の近さを実現するために実装した。

同社調べによれば、INFOBAR2を現役で利用しているユーザーはかなりの数存在している。ケータイ的な使い心地で、デザイン性の高い機種を求める既存ユーザーの「機種変候補」となるものをリリースするというのが、INFOBAR xv発売の動機のひとつだという。

実際、来場していた人の中に現役INFOBAR2ユーザーがいたので、並べて撮影させてもらった。フォルダのかたちなどを見ると、デザインの近さが分かりやすい。

もうひとつには、昨今スマホが普及しきったことにより、通話専用機のようなシンプルな機種を2台持ちしたいというニーズが高まっていることがある。デジタルデトックス、スマホ疲れといったキーワードに見られるような、スマホ1台完結型から離れたいという欲求に、かつてデザインケータイを持ちたかった層含めてアプローチできたらと語る。

NTTドコモが今月発表したコンパクトなカードケータイ「KY-01L」も、機能を絞り込んだコンパクトさが注目された。美田氏はこの動向に対して市場活性化は歓迎として、実機のお披露目を機に、購買層が一層広がることを期待しているとコメントした。

ちなみに、発売当時デザインケータイに心躍らせた現在アラサー~アラフォーの世代が、クラウドファンディングの支援者でも多数派だったそうだ。デザインの魅力で話題をさらったINFOBARを懐かしく思う世代にはグッとくるアイテムだけに、これからの実売の伸びにも注目したい。

(杉浦志保)