先輩や上司からアドバイスを受けたり、手本を見せていただいたりした時に、「大変参考になりました」と言いながらお辞儀をしている人を目にすることがありますが、実はこの言葉、目上の人に対して使うのは誤りです。

そこで本稿では、「参考になります」が失礼にあたる理由とともに、正しい表現方法をご紹介します。

  • 目上の人に「参考になります」はNG? - 正しい表現方法とは【ビジネス用語】

    目上の人に「参考になります」はNG?

■目上の人に「参考になりました」がNGな理由

なぜ、目上の人に対して「参考になりました」を使ってはいけないのでしょうか?

「参考」という言葉の意味を調べてみると、「他人の意見や他の事例・資料などを引き合わせてみて、自分の考えを決める手がかりにすること」や「考えたり決定したりする際に判断材料の一つとすること」と記載されています。

前者のように、「あなたの意見が手がかり(ヒント)になりました」という意味で捉えられれば、さほど問題ないように思いますが、後者の場合ではどうでしょう。

「判断材料の一つとする」と言うと、「(自分の考えは既に決まっているので)あなたの意見は足しにします」「参考程度に聞いておきます」といったニュアンスが感じられ、上から目線のような印象を相手に与えかねません。ゆえに、目上の人に対して使用するには失礼な表現と言えるのです。

■「参考になりました」の言い換え

では、目上の人にはどのような表現を用いれば良いのでしょうか。

目上の人に対しては、「勉強になりました」という表現が正しい敬語となります。「勉強」という言葉には「学ぶ」「経験を積む」といった意味があることから、「あなたの意見を聞いて知識が増えました」というニュアンスが強く、相手に良い印象を与えることができます。

また、「学ばせていただきました」という表現を用いると、より謙虚な印象を与えることができます。ただし、身近な上司や先輩に使うと、やや堅苦しく大げさな表現に感じられてしまいます。「学ばせていただきました」は、自分よりも遥かに豊富な知識を持つ人物に対して用いると良いでしょう。

■例文

・貴重なご意見をありがとうございます。大変勉強になりました。

・○○さんと一緒に仕事をすることができて、非常に勉強になりました。

・先日の講義、しっかりと学ばせていただきました。


「勉強になりました」と口にするのは簡単ですが、あまり多用すると社交辞令のように聞こえてしまいますし、実際に行動に移さなければ「口先だけか」と思われても仕方ありません。他人の意見を素直に取り入れ、手本を自分のものにすべく努力を重ね、自身のスキルアップにしっかりとつなげていきたいものですね。