トム・クルーズ主演の人気スパイアクション映画第6弾『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(公開中)で、トム演じるイーサン・ハントの前に立ちはだかる敏腕CIAエージェント、オーガスト・ウォーカー役の日本語吹替版声優を務めたDAIGOにインタビュー。タレントを声優に迎えるのはシリーズ史上初ということで、熱い視線を浴びている。

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    『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』でオーガスト・ウォーカー役の吹替えを務めたDAIGO

今回のイーサン・ハントは、捕まった仲間の命と引き替えに、奪還したプルトニウムを再び敵に引き渡してしまう。イーサン率いるIMFの仲間たちは、新しくチームに入ったウォーカー(ヘンリー・カヴィル)と共に、同時核爆発を未然に防ぐべく、新たなミッションに挑む。

DAIGOといえば、ロックミュージシャンでありつつ、バラエティ番組やドラマ、映画など、幅広いフィールドで活躍。アフレコはテレビアニメ『カードファイト!! ヴァンガード』シリーズをはじめ、『ウォンテッド』(08)や『きかんしゃトーマス 探せ!!謎の海賊船と失われた宝物』(16)などでも吹替版を担当してきたが、今回は世界的な人気を誇る『ミッション:インポッシブル』最新作で、しかも物語のキーマンとなるウォーカー役ということで、かなりハードルが高いミッションとなった。

――ウォーカー役のオファーが入った時、最初は戸惑いを覚えたそうですね。

オファーをいただいたのはとても光栄でしたが、正直「僕でいいのかな?」と思いました。『ミッション:インポッシブル』シリーズは世界的にはもちろん、日本でも新作を待ちわびている方が多い人気作なので、「僕がちゃんと任務を全うできるのかな?」と心配になりました。

ただ、今回「声優で初のタレント起用」ということで、僕がやらなければ誰かがやるってことなので、ぜひ自分がやらせていただきたいと。『ミッション:インポッシブル』の最新作にこういう形で携われるなんて、僕の人生のなかでも本当にエキサイティングな時間になると思いました。

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――トム・クルーズのアクションに対するプロ意識についてどう思われましたか?

不可能なことをやり続けて可能にしている! 毎作、自分たちの想像を遥かに超える命懸けのスタントをご自身でやられていて、本当にすごすぎます。だからこそ何十年も世界的なスターでい続けられるんだろうなと。年もとらないし、ずっと永遠に生き続ける人なのかと思うくらい、すべてにおいてすごいと思います。

――ウォーカー役にはどのようにアプローチしていきましたか?

ウォーカーはすごくクールでガタイも良く、身体能力もすさまじい役柄なので、自分もそういうワイルドなイメージをもって挑んだつもりです。なるべくクールに演じられるよう、自分の声を限界まで低くして臨みました。もちろんやりすぎると「作っている」となっちゃうので、自然な範囲で出る声の一番低いところを目指したつもりです。

――声だけで勝負するアフレコと普通の芝居とでアプローチの仕方は違いますか?

全然違います。僕は歌もやっていますが、声優という仕事は別のジャンルです。僕にとってはエンターテインメントの仕事のなかでもトップクラスで難しい。“VD”です。ベリー・ディフィカルト。とても難しいです。

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――タレントが日本語吹替版を担当すると、賛否両論がつきまといますが、DAIGOさんはその重圧についてどう立ち向かっているのですか?

プレッシャーは今も感じ続けています。僕は過去に日本語吹替版の声優をやっていて、様々なご意見があることも感じていますが、そういうなかで改めてこういう作品にチャレンジできるってことは、僕にとって運命なのかなとも思いました。

僕もこのシリーズが大好きだからこそ、オファーをいただいたからにはちゃんと全力でやりきりたい。それはどんな仕事においても、僕のモットーです。『ミッション~』の吹替えなんて、自分でやりたいと言ってできることじゃないですから。僕にオファーしてくださったこと自体がありがたいと思っています。

――ちなみに、プレッシャーには強いタイプでしょうか?

僕はすごくニーズに応えたいタイプです。ニーズがあれば、普段の力では出せない力が出てくることが確かにあります。もしかしてプレッシャーみたいなものをパワーに変えていけるのかもしれません。今回、自分のなかでやれることはやったので、あとは観てくださる方がどう思ってくださるか。楽しんでもらえる作品になっていたらうれしいです。

――このあと、人気コミックの映画化作品『ニセコイ』も待機中ですが、俳優活動への意欲も増してきていますか?

正直、増しています。表現という意味では、歌も映画もドラマもバラエティも、ジャンルは違うけど、エンターテインメントでの表現なので。いろいろな表現のお仕事をしていくと、経験したことは絶対に歌の仕事にも返ってくるので。もちろん自分が歌手だからやるという意味ではなくて、呼んでいただいた時はジャンルという枠を取っ払い、真摯に向き合うことが大事だと思っています。

いろんなお仕事をさせていただき、相乗効果で表現の幅が広がるのはいいことなんじゃないかと。ただ、役者や声優はオファーをいただいてこそできる仕事なので、また、良いお仕事をいただけるよう、お芝居も頑張っていきたいです。

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■プロフィール
DAIGO
1978年4月8日、東京都出身。シンガーソングライター、俳優、声優、タレントで、ロックバンドBREAKERZのヴォーカル。バラエティ番組やドラマ、映画、舞台などで幅広く活躍。映画の近作は『嘘を愛する女』、『ニセコイ』(2018年12月21日公開)。
■著者プロフィール
山崎伸子
フリーライター、時々編集者、毎日呑兵衛。エリア情報誌、映画雑誌、映画サイトの編集者を経てフリーに。映画やドラマのインタビューやコラムを中心に執筆。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』、好きな俳優はブラッド・ピット。好きな監督は、クリストファー・ノーラン、ウディ・アレン、岩井俊二、宮崎駿、黒沢清、中村義洋。ドラマは朝ドラと大河をマスト視聴