厚生労働省が発表している平成29年(2017)人口動態統計の年間推計によると、婚姻数は60万7,000組に対して、離婚件数は21万2,000組となっており、1日あたり580組の夫婦が離婚している計算になります。また離婚ではなく、死別や未婚の母となり子供を育てているシングルマザーやシングルファーザーもいます。

厚生労働省が発表した平成28年度全国1人親世帯等調査結果によると、全国の母子家庭数は123.2万世帯(離婚79.5%、死別8.0%)、父子世帯が18.7万世帯(離婚75.6%、死別19.0%)と母子家庭数が多いことがわかります。そして、平均年間収入は、母子世帯243万円、父子世帯420万円と、母子世帯の方が父子世帯と比べると収入が少ないことがわかります。

子育てにはお金がかかりますので、こうした所得が少ない「ひとり親世帯」にはいくつかの支援制度があります。

  • 出典:厚生労働省 平成28年度全国1人親世帯等調査結果

各種手当

児童手当は、ひとり親世帯だけではなく、子育て世帯が受け取ることができる制度です。0歳~3歳未満は一律1万5,000円、3歳~小学校修了までは第1子、第2子1万円、第3子移行1万5,000円。中学生は一律1万円、所得制限以上は一律5,000円です。

児童扶養手当は、母子家庭、父子家庭どちらも受けることができますが、扶養している児童の人数と所得によって支給額が変わります。児童1人の場合は、満額で月4万2,490円から1万30円まで10円単位で変動します。

児童2人目の加算は、全部支給で1万40円、一部支給1万30円から5,020円まで10円単位で、児童3人目以降の加算額(1人につき)全部支給6,020円、一部支給6,010円から3,010円まで10円単位で変動します。

また所得制限の算定方法が平成30年8月から変更となり、全部支給の対象となる方の所得限度額が引き上げられました。※支給額は平成30年度分です。

  • 児童扶養手当

児童育成手当とは東京都のみの制度ですが、18歳に達する日以降の最初の3月31日まで父母が離婚、死亡等した児童に給付される手当です。所得制限がありますが、児童1人あたり、1万3,500円が支給されます。

ひとり親家庭等医療費助成制度とは、18歳に達する日以降の最初の3月31日まで(障害がある場合は20歳未満)、一定の所得以下にあり、児童を監護している母子家庭、父子家庭等が対象となります。

住民税非課税世帯は、通院・入院の自己負担はなし。住民税課税世帯は、通院・入院の負担割合は1割、1月あたりの負担上限額が通勤は1万4,000円(年間上限14万4,000円※)、入院は5万7,600円(多数該当4万4,400円)上限を超えた場合、超えた分を高額医療費として助成されます。

寡婦控除・寡夫控除

寡婦控除(かふこうじょ)とは、納税者自身が一般の寡婦・寡夫であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。夫もしくは妻と死別、あるいは離婚した後再婚をしていない人などの場合、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人が対象です。この場合の子は、総所得金額が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない子に限ります。

一般の寡婦・寡夫の場合は、控除額が27万円ですが、以下3つの要件を満たした場合は、特別の寡婦として控除額が35万円となります。

(1) 夫もしくは妻と死別し又は離婚した後婚姻をしていない人や夫もしくは妻の生死が明らかでない一定の人
(2) 扶養親族である子がいる人
(3) 合計所得金額が500万円以下であること

他にも、家賃補助や公共交通無料パス、塾費用や受験料の貸付など各自治体によって支援制度もさまざまです。こうした制度は申請をしないともらえないのがほとんどです。シングルマザー・シングルファーザーもしくはこれからその予定がある人は、お住まいの自治体の制度を調べてみると良いでしょう。各自治体のHPからでも情報を得ることができます。そしてまた、近隣でより制度が充実した自治体があれば、転居を検討するのも手です。

給付金を割り出してくれるアプリも

家計簿アプリ「Zaim」では、住んでいる地域や世帯構成、家計簿の記録からもらえる可能性のある給付金や手当、控除を割り出してくれるサービスがあります。

都内23区にお住まいなら、アプリの「ほじょなび」で行政サービスを調べたり、行政の制度をサービスをプッシュ通知でお知らせしてくれるサービスもありますので、こうしたアプリを利用してみるのもいいですね。

丸山晴美(まるやま はるみ)

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外国語の専門学校を卒業後、旅行会社、フリーター、会社員、コンビニ店長へと転職。22歳で節約に目覚め、年収が350万円に満たないころ、1年で200万円を貯める。26歳でマンションを購入。2001年に節約アドバイザ―として独立。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザーの資格を取得し、お金の管理、運用のアドバイスなどを手掛け、TV、雑誌などで幅広く活躍している