「大人のための変身ベルト」をコンセプトに開発されたバンダイボーイズ事業部の「COMPLETE SELECTION MODIFICATION(CSM)」の第20弾は、2002年から2003年にかけて放送された特撮テレビシリーズ『仮面ライダー龍騎』の変身ベルト「Vバックル」に決まった。
『仮面ライダー龍騎』は『仮面ライダークウガ』(2000年)『仮面ライダーアギト』(2001年)に続く、平成仮面ライダーシリーズの第3弾。本作には、鏡の中の世界「ミラーワールド」のモンスターと契約して超人的な力を得た「仮面ライダー」が複数存在し、それぞれが「叶えたい願い」をかけて、最後の1人になるまで戦い合うという、これまでにない意欲的な設定が組み込まれている。
本作の仮面ライダーは、ミラーワールドから現実世界に現れて人間を襲うモンスターを倒す"ヒーロー"としての側面を持つものの、決してライダー同士が心を通わせ、共闘するような存在ではない。複数の仮面ライダーが、それぞれ異なる価値観、異なる正義のもとに潰し合うという部分が本作の大きなテーマで「戦わなければ生き残れない」というキャッチコピーがそれを顕著に示している。
ここでは、音声収録のためにひさびさに再会を果たした仮面ライダーゾルダ/北岡秀一を演じた小田井涼平、仮面ライダー王蛇/浅倉威を演じた萩野崇のお2人に、『仮面ライダー龍騎』が放送当時いかに挑戦的な内容だったのか、そして、次世代を担うヒーローたちにどのような影響を与えたのか、などの話題を中心にしたバトルトークを展開してもらった。
――浅倉と北岡の因縁は、スーパー弁護士の北岡が浅倉の弁護を引き受けたところから始まっています。ライダー同士のバトルの中でも、浅倉は北岡を執拗に狙う執念深さを見せていました。
萩野:浅倉は出てきた当初から、北岡のストーカーみたいだったよね。
小田井:台本には、詳しい経緯が書いてないですから、なんで僕がこんなに恨まれているかわからなくてねえ(笑)。わからないけど、浅倉はものすごく憎んでいて。
萩野:そうなんだよね。後からだんだん、あのときはこういうことで……とわかっていくスタイルだから、初めのころはお互い詳しいことを知らずに芝居をしなければいけなかった。
小田井:後でわかってきたことだと、まあ、逆恨みですよね(笑)。
萩野:逆恨みの極みといった感じ(笑)。
――第17話から登場した萩野さんの演じる仮面ライダー王蛇/浅倉威は獄中でカードデッキを与えられてライダーとなり、常にイライラを抑えきれない危険な男として、ライダー同士のバトルに緊張感を与える存在でした。そのキャラクター描写は、今の時代だと放送そのものが出来ないんじゃないかというくらい危険な匂いがしましたね。
萩野:まあ、そうでしょうね。設定的に(笑)。でも当時は、仮面ライダー同士が1年かけて殺し合うってドラマを日曜の朝8時から放送していたんだから、他に例がないですよね。
小田井:萩野くん演じる浅倉が参加してきたころの数回が、仮面ライダー同士の「戦い」という意味でいちばん面白く、盛り上がったところだと思っています。多いときで6~7人のライダーが入り乱れてバトルしていたでしょう。すごく面白かったんですけれど、複数のライダーが混戦しているとアフレコのとき、大変なことになりましたね(笑)。『龍騎』のライダーって、手と足のパーツが各人共通しているので、画面を見ながら僕らが声を出すとき、いったい誰が誰の声を出せばいいのか混乱してしまうときがありました。
萩野:ああ、確かに! そんなこと多かった(笑)。
小田井:誰が誰を殴ったかわからず、そっちと違う!ってことでNGになったりしてね。ひどいときには、1人しか戦っていないのに、全員でそのライダーに「フンッ!」とかけ声を入れたりしていたなあ。「すいません、今のやつ、どのライダーですか?」って尋ねたりして(笑)。だからあの時期は僕らも、撮影やアフレコが面白かったですよ。そんなライダー同士の乱戦があって、王蛇がライアやガイをぶっとばしたりして。あ~あ、って……(笑)。
萩野:浅倉はそういうところ容赦がないですから……(笑)。