1冊1冊が大切な宝物となるように

同施設で特徴的なのが、施設入り口や保育エリアに置かれたたくさんの絵本だ。東京子ども図書館の協力により、約500冊を配備。子どもを預けていない社員にも貸し出しを行う。

  • ヤフー、企業内保育所「HUTTE」を開所! 特徴は500冊の絵本と「手ぶら登園」

    入り口廊下にずらっと並んだ絵本。すべて東京こども図書館によりフィルムコーティングされている

同館の理事長・張替恵子氏は「今回選書にあたって、乳幼児向けの本が70冊あまり、3~5歳向けが120冊、年長~小学校低学年向けが210冊、絵本から卒業する頃のやさしい読み物が40冊、親御さん向けのブックリストやガイドブックなどを10冊ほど揃えました。ここに来るお子さんの多くは0、1、2歳ということで、本に親しむという意味ではまだ助走段階ですが、絵の美しさやことばの気づきなどを感じてもらえたらと思います。その先のお子さんについては、社員のみなさんにここのコーナーを利用していただけたらうれしいと思います」と話した。

  • 東京子ども図書館理事長・張替恵子氏

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    子どもたちの手の届くところにもいろいろな絵本が置かれている

「現在子どもの娯楽は多様化して、生活は忙しくなる一方です。子ども時代に逢える本というのは、数が限られています。ですから、その1冊1冊が大切な宝物となるように、と願いながら選びました」と張替氏が話すように、ただ子どもを預けるだけの施設ではなく、子どもたちの豊かな感性を伸ばす工夫を感じられる。

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    開所式の登壇者と7月から入所する子どもたち

月ぎめ保育の定員は12名。今年2月の時点では満員となったが、「認可保育園に落ちたこと」が入所条件となるため、4月に認可に受かった4名を除く8名の子どもたちが、7月からこのHUTTEに通う。

復職率96.1%のヤフーが抱える課題

ヤフーの代表取締役社長・川邊健太郎氏は冒頭の挨拶で、「現在ヤフー社員の産休・育休後の復職率は96.1%ですが、さらに働く環境を良くしていくためにも、これを100%にしたいと強く考えております。これまでも時短・時差勤務のほか、育児や介護を行う社員を対象に、週3日、4日勤務が選択できる『えらべる勤務制度』などを採用してまいりました。その一方、子どもの預け先が決まらず復職できない社員や、自宅や職場から離れた施設に預けるしかなく、日常生活に支障をきたしている場合もあります」と話した。

同施設は、こういった社員たちの産休・育休後の復職、継続就業支援を目的とし、内閣府の「企業主導型保育事業」の助成金を活用して開設・運営される。

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    ヤフー代表取締役社長・川邊健太郎氏

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    内閣府男女共同参画局長・武川恵子氏

挨拶を行った内閣府男女共同参画局長・武川恵子氏は、「日本の女性活躍が遅れた原因の1つが、継続就業が困難であることでした」と話す。

「人口減少にも関わらず、この5年間で就業人口は約250万人増加し、その8割が女性就業者になります。今後も女性の就業者は増加すると見込まれており、それに伴い、政府では2020年度末までにさらに32万人分の保育の受け皿の整備を目指しています」と武川氏。そのために大きな役割を果たすのが、今回のHUTTEのような「企業主導型保育」だ。

自身も保活に苦しんだという前述のヤフー社員・友成氏も「弊社がこういった企業内保育所をつくったことで、ほかの企業にも広がって、少しづつ待機児童問題が解消されればと思います」と話した。