ある調査によると、欧米を中心とした諸外国では日常的にカード決済が幅広く用いられているのに対し、日本はまだまだ現金決済が主流だという。では、日本に来た外国人たちはどうしているのだろうか。そこで今回は、在日外国人20名に、日本で買い物をする場合にクレジットカードと現金のどちらを使うことが多いか聞いてみた。
Q. 日本で買い物をする場合、クレジットカードと現金どちらを使うことが多いですか? その理由を教えてください。
クレジットカード派:9名
現金派:11名
クレジット派
■リスク回避
- 「現金払いはほとんどしていないです。電子マネーかクレジットカードです。現金を引き落としする時間と、損失リスクを省けるからです」(カンボジア・20代前半・男性)
- 「クレジットカードが多い。現金を無くすのは心配なので、クレジットカードで。現金はあまり入れない。また、現金を何に使ったかよく覚えていないので、クレジットカードだと明細をいつでも見られる」(ポーランド・30代前半・男性)
- 「クレジットカードが多いです。現金はどのくらいお金使っているか実感があるからとてもいいと思いますが、お財布を落としたり盗まれたりしたら大変困ると思ったら、日常の買い物(スーパー、コンビニなど)以外はクレジットカードにしています。ポイントも貯まりますから、ネットショッピングで使います。日本のクレジットカードポイント制がとても便利です!」(イタリア・20代前半・女性)
- 「クレジットカードです。自分が現金を持っていると怖いから」(ペルー・40代前半・女性)
■ポイントが貯まるから
- 「最近クレジットカードが多くなってきた。ポイントも付くし、現金を持ち歩かなくても買い物できるところが便利です」(シリア・30代後半・男性)
- 「クレジットカード。ポイントが貯まるから」(タイ・40代前半・男性)
- 「クレジットカードをよく使います。ポイントが貯まるからです」(パラグアイ・50代・女性)
- 「クレジットカード。ポイントが貯まります」(中国・20代前半・女性)
- 「ポイントが貯まるクレジットカードの利用が多い」(スペイン・40代前半・女性)
現金派
■無駄遣いしないため
- 「現金。クレジットカードは無駄遣いになりそう」(マレーシア・40代前半・男性)
- 「現金。クレジットはいくら使ったか分からなくなるから」(インド・30代前半・男性)
- 「現金を使います。お金を手で触り目で見る方が現実的だと感じます。カードの場合はバーチャルすぎて、無駄遣いをしてしまいそうです」(ドイツ・30代前半・男性)
- 「現金をよく使います。どれくらい使ったか目で見えますので」(アメリカ・30代前半・女性)
■クレジットカードを持っていない
- 「外人たちは殆どクレジットカードを作るのを許されないので、現金でしか払えません」(スペイン・30代前半・男性)
- 「クレジットカードは、申し込んでも理由が解らず与えてもらえない場合が多くていつも現金です」(フィリピン・30代後半・女性)
- 「現金です。クレジットカードはまだ持ってませんし、盗まれたり、なくしやすいので、使うのはちょっと怖いです」(エジプト・30代前半・女性)
- 「現金です。クレジットカードを持っていません」(香港・20代後半・男性)
■その他
- 「現金。カードはだめの場所があるから」(ロシア・20代前半・男性)
- 「現金。カード文化がそこまで普及していないように感じます」(ハンガリー・30代後半・女性)
- 「現金です。より便利です」(オーストラリア・30代後半・女性)
総評
アンケートの結果、クレジットカード派と現金派の割合は、概ね半々という結果となった。
かつては、高額の支払いの時にしか使わなかったクレジットカード。今では、コンビニやスーパーなどでのちょっとした買い物でも使えるようになるなど、私たち日本人にとっても、より身近なものとなったが、現金派からは「カード文化がそこまで普及していない」「カードが使えない店がある」といった意見。また、クレジットカードの発行を断られてしまうケースもあるなど、使いたくても使えない現状に不満の声が寄せられた。
一方、クレジットカード派は、「現金は落としたり盗まれたりしたら困る」とのこと。日本よりも治安が悪く、落とした物はまず戻ってこない国も多いと聞く。そういった環境で育ってきた人からすれば、「落とし物が戻ってくる日本」にいても、現金を持つことへのリスクを懸念せざるを得ないようだ。
ここで、それぞれのメリットに注目してみると、現金は「無駄遣いを防ぐことができる」点、クレジットカードの場合では「ポイントがつく」という点が多く挙がった。慣れない外貨(円)だからこそ、会計がスマートなクレジットカードを選ぶ外国人が多いと思っていたが、総じて、便利かどうかよりも、損得重視で選んでいるように感じた。
あえて現金を選択する外国人も多かった今回のアンケート。世界的にキャッシュレス化に向けた動きが加速している今、多様な決済手段を提供する側も、われわれユーザーも、改めて現金を持つことの意味について考えてみる時なのかもしれない。