異国情緒あふれる大都市・神戸。昔から神戸には数多くの洋食屋が軒を連ねる。その中でもユニークなカレー屋が「鐵道カフェ&カレー」だ。神戸にありながら、東京からも「鐵道カフェ&カレー」目当てに客が来るカレー屋。一体、どのようなカレー屋なのだろうか。早速レポートしたい。

「鐵道カフェ&カレー」には鉄道ビューな"自由席"も用意されている

アットホームな雰囲気に鉄道模型をプラス

「鐵道カフェ&カレー」は、神戸の中心地・阪急神戸三宮駅と阪急春日野道駅の間にある。阪急三宮駅や山陽新幹線新神戸駅から徒歩でアクセスできるのも、「鐵道カフェ&カレー」の自慢だ。周辺は閑静な住宅街になっており、落ち着いた雰囲気になっている。

阪急春日野道駅から西へ歩くこと10分、「鐵道カフェ&カレー」の玄関に着いた。一見すると「レストラン」というよりも「昔ながらの民家」だ。ただ、神戸にあるせいか、古民家でありながらモダンな雰囲気が漂う。

黄色で囲われた「額縁」がアクセントになっている

扉を押すと、玄関で靴を脱がなかればならない。それから店内に入るスタイルとなっている。そのため、「カフェに入る」というよりも「友人の家にお邪魔する」という感じだ。この「靴を脱ぐ」という行為がくつろいだ気分にさせるのだろう。

鉄道模型の中には、パーシーやトーマスの姿も

さて、店内に入り目に飛び込んできたのは鉄道模型! 鉄道ファンならずとも、思わず「わっ」と驚きの声が出てしまうだろう。鉄道模型は小規模ながらも、高架線や鉄橋があり、なかなか凝ったレイアウトだ。車両を見ると先がとがった500系新幹線や地元の阪急電車の姿もある。また、可愛らしいジェームズやパーシーもある。代表の佐野達夫さんによると、子どもだけでなく大人の女性も走りゆく車両に見入ってしまうとか。

そして、もうひとつ目に入ったのは鉄道模型前にあるモニター。このモニターには、「沿線風景」が表示される。鉄道模型専門店顔負けのレイアウトに驚くばかりだった。

こだわりのスパイスと甘い野菜がたまらない!

早速、「鐵道カフェ&カレー」の主役であるカレーを食べることにした。鉄道好きの筆者が注文したカレーはズバリ「バターチキンカレー+ドクターイエロープラレール編成」(870円+100円)。子供向けの「ドクターイエローカレー」以外は、100円増しでライスをドクターイエロープラレール編成に変えられる。「ドクターイエロー」とは、東海道・山陽新幹線を点検する検測車両を指す。近年、大人のみならず子どもにも人気を集めている車両だ。

鮮やかな「バターチキンカレー+ドクターイエロープラレール編成」(870円+100円)

ご飯で作られたドクターイエローに箸を入れるのが本当に惜しい。そう思いながら、ご飯とルーを一緒に口に入れた。すると、インドカレーのようなコクのある味が口いっぱいに広がった。実は、「鐵道カフェ&カレー」はネパール産のスパイスを使用している。そのため、日本のカレーとは異なった味が楽しめるのだ。

なお、「鐵道カフェ&カレー」では「カレーキット」という名称で、オーガニックスパイス・必要なスパイス・レシピをセット販売している。。スパイスが気に入った人は自宅で、「カレーキット」(各500円)を使ってカレーを"製造する"といいだろう。

気に入ったら「カレーキット」(各500円)をお土産に

次に、皿の右半分を占める野菜を口にし、あることに気づいた。野菜がとても甘いのだ。野菜には特別なドレッシングはかけていない。実は「鐵道カフェ&カレー」の野菜は有機栽培で育てられている。鉄道模型のレイアウトのみならず、カレーにもこだわる姿勢を感じた。

ところで、「バターチキンカレー+ドクターイエロープラレール編成」を見ると「腹持ちが悪いのでは」そう思われるかもしれない。しかし、想定以上に満腹感が得られ、胃腸に負担がかからない。しかも、薬にも使われるスパイスと新鮮な有機野菜がセットになっているので健康にもいい。きっと「鐵道カフェ&カレー」が出すカレーを毎日食べると、健康的な生活が送れることだろう。

カレーも鉄道空間も常に変化

カレーと鉄道に対するこだわりが垣間見られる「鐵道カフェ&カレー」。きっと「こだわり」を支える深い哲学があるのだろう。佐野さんに尋ねてみた。

佐野さんの口からは、「ちゃんとしたものを出す」「バージョンアップし続ける」というシンプルながら深いフレーズが出てきた。「ちゃんとしたものを出す」というコンセプトはカレーにきちんと反映されている。「鐵道カフェ&カレー」では誰でも同じメニューが楽しめるように、様々な工夫をしている。

メニュー表は常に変化する

米粉の使用や卵を使わないポリシーがその一例だ。そのため、アレルギーや糖質制限がある人を含め、どんな方でも気兼ねなくカレーを食べられる。「いいもの、おいしかった」を追求する佐野さんの熱き思いがダイレクトに伝わってきた。

「バージョンアップし続ける」というコンセプトは、「鐵道カフェ&カレー」全体の進化につながっている。例えば、数カ月前に訪れた時は、鉄道模型前のモニターはなかった。佐野さんによると、これから鉄道模型の右半分のレイアウトに着手する、とのこと。どのようなレイアウトになるか、楽しみだ。また、カレーのメニューやレシピも常に進化・発展している。「進化探し」を発見するために「鐵道カフェ&カレー」を訪れるのも楽しいだろう。

新たに導入したモニター

「ちゃんとしたものを作る」「バージョンアップしていく」。このフレーズの重みを噛み締めながら、「鐵道カフェ&カレー」を後にした。

●information
鐵道カフェ&カレー
住所: 兵庫県神戸市中央区神若通5-2-16
アクセス:JR三ノ宮駅、阪急・阪神神戸三宮駅、地下鉄三宮駅からそれぞれ徒歩15分
営業時間: 11:00~19:00
定休日: 月曜日(ほかに不定休あり)

※価格は税込