大量に作るからこそ可能なおいしさ

調理法によって素材のうまみを引き出し、味をしみこませていると語る矢野 担当課長

――自分で作るよりも、ベビーフードの方が味が濃い気がするという声を良く聞きます。やはり赤ちゃんに食べてもらうために、味付けは濃くしているのでしょうか?

生後6カ月を過ぎると、多少味がないと赤ちゃんも物足りないというか、食べが悪くなってしまうので、定められた基準(※)の中で味を付けるようにしています。

全く塩やしょうゆを使わないというご家庭に比べると味は濃いかもしれませんが、塩分はできるだけ控えていますし、だしやうまみをきかせることで、味に深みを加えている部分もあるので、味が濃いと感じられるのかもしれません。

ベビーフードは、一度にたくさんの量を高温・高圧で作っているので、具材のうまみも引き出せます。同じ塩分量で、同じ味のメニューをご家庭で作るとなると、難しいのかなと思います。

※日本ベビーフード協議会の自主規格で、ベビーフードの塩分は、生後12カ月までが約0.5%以下、生後12カ月以降は約0.7%以下と定められている。塩分0.5%の目安は、みそ汁を半分に薄めたくらいの味

――自主規格内で安全ということは分かるのですが、それにしても上限ギリギリまで塩分を加えているということはあるんでしょうか?

メニューによって適した味があるので、上限いっぱい使っているわけではありません。調理法や、食卓に商品が届くまでに時間がたっていることなどから、具材に味がしみこんではいると思います。ご家庭では、なかなかそこまでできないと思います。

ベビーフードをうまく活用するために

――1日3食ベビーフードを与えても問題ないですか?

基本的には毎食食べていただいて大丈夫です。しかしそれが1週間続くとなると、栄養バランスが偏らないよう、お肉の次は魚をあげようとか、和風の次は洋風にしようというように、バリエーションを増やしていった方が良いと思います。

それから、食べやすい具材の固さはその子によってどうしても個人差があります。赤ちゃんの月齢にあったベビーフードを与えても、赤ちゃんによってはやわらかすぎる、物足りないということもあるんです。

そんな時に、例えばブロッコリーをゆでてベビーフードに少し入れてあげると、食感も満足できるし、ボリュームもアップするのでお勧めですよ。赤ちゃんの様子を見て、ご家庭で野菜を加えてあげるとより良く食べてもらえるかなと思います。

――他にも栄養バランスの観点から気をつけることはありますか?

おかずや主食が単体でパウチになっている商品は、できれば組み合わせて食べていただきたいです。弊社の場合はパッケージの裏面に、エネルギー、たんぱく質、炭水化物、野菜という4つの要素のバランスをグラフで示していて、足りない部分を補うための"おすすめサイドメニュー"も提案させていただいております。

パウチ型の商品の裏には……

栄養バランスのグラフとおすすめサイドメニューが

――このグラフの一要素になっている"こだわり"っていうのは?

弊社の商品は全てこだわりを持って作っていますので、全部の商品が100%となっております!

――なるほど!(笑)

離乳食は、主食があって、主菜があって、副菜があるという、基本の食を教えてあげる機会でもあると思うんですね。大人になってからの食への考え方に、多少なりとも影響すると思うので、食育の意味もこめて取り組んでみてほしいと思います。

――最後に、お母さん、お父さんたちに伝えたいことはありますか?

赤ちゃんが離乳食を食べてくれなくて、大変な思いをされている方は多いと思います。ただ、嫌がっているのに無理やり食べさせてしまうと、赤ちゃんは食事の時間がきらいになってしまいます。お母さんの顔が怖くなっていたりすると、より食べなくなってしまうんです。

難しいことなんですけど、そこは少しがんばって「おいしいよ♪」(ニコッ)という感じで声掛けをして、"食事は楽しいもの"だということを、赤ちゃんに学んでもらえると良いですね。

――ありがとうございました!