プログラミングの勉強は誰でもできる

Q.本のタイトルにもあるように"6歳まで"をターゲットにした理由は何でしょうか?

世間のパパ・ママたちも幼児期の教育に対する関心が高いですし、何より6歳までの期間は家庭教育が中心の生活です。そんな家の中で「教育」をしようとすると、つい読み書きなど認知能力を伸ばすことをやりがちになってしまいますが、読み書きや計算は小学校に入れば他の子たちもすぐに追いついてくると言われています。

一方、考える力やコミュニケーションといった非認知能力はいくつになっても必要なことですし、6歳までに基礎をしっかりと築いてあげることが大切だと言われています。そんな、6歳までに始められることの中でどんなデジタルデバイスの使い方ができるかに注目してみました。

Q.「デジタル教育といっても、何をしたらいいかわからない」という人も多いと思いますが、どのようにデジタル世代の子どもの教育に向き合えばいいでしょうか?

"論理的思考を伸ばすためにはプログラミングしかない"って考えているママも多いのですが、それはすごくもったいないことです。実は、読書感想文を書くことも論理的思考につながります。本を読んで自分なりにどうまとめるかを考えることが論理的思考を鍛えることになるのです。

読書感想文を書くことも論理的思考のひとつ

現在使われているプログラミング言語は、10年前になかったものも多いですし、さらに10年先には今の言語は通用しないかもしれません。なので、大事なのはプログラミング自体の勉強をすることではなく、プログラミングのもとになる思考力を鍛えることです。

6歳以下の子どもが思考力を鍛える……そう聞くと難しく感じる人も多いかも知れません。簡単に言うと、"物事を分解して、細かく分けて考えさせる"ことです。

例えば「ピアノの発表会の曲は何にする?」と聞かれると深く迷ってしまうかもしれませんが、「じゃあ、速い曲とゆっくりの曲ならどっちがいい?」と聞かれれば「速い曲がいい」などすんなり答えられるのではないでしょうか。すると「速い曲ならこの曲やあの曲がいいかな」と、結果的には曲を自分で考えて決めやすくなるのです。

Q.なるほど、そう考えればすごくわかりやすいですね。

子どもは、よく「お手伝いをしたい」と言ってきますが、頭ごなしに「危ないからあっちにいってて」と断ってしまうママも多いのではないでしょうか。でも、どの部分をできないと思うのか、お手伝いの中でできる部分はないか、と分解して考えることで6歳までの小さい子どもにもできるお手伝いが見えてきます。

例えば、食事の準備をする際に料理をのせたお皿を運ばせるのは危なくても、食器を並べるお手伝いは2歳でもできます。いつも使っているスプーンやお箸だけを入れたカトラリーケースを用意し、手渡すと、「これはお父さんの、これはお母さんの」って一生懸命に考えながら、テーブルに並べてくれます。

その間、料理を作ることもできますし、子どもの手伝いたいという意欲や考える力を育てることもできます。このように、難しく考えなくても日常シーンの中で非認知能力は育むことができるのです。

Q.本の中では55ものさまざまな能力の勉強方法が紹介されていますが、今のお話のようにデジタルだけでなく、アナログな勉強法が数多く取り上げられているのも印象的でした。

アナログをすっとばしてデジタルにいくのではなく、アナログの良さもデジタルの良さも取り入れながら教育することが大事だと思います。たくさんの選択肢の中に、デジタルも入れてみる、そんな気持ちで実践してみてもらいたく、アナログもデジタルも含めて様々な事例を挙げてあります。

「自分にデジタルの知識がないから子どもに教えられない」「逆にデジタルの知識がないからこそ、漠然と子どもにはデジタルの教育をやらせないとダメだと考えている」という人もいますが、"自分がわからなければ自分も子どもと一緒に勉強してみる"というのもいいと思います。

最近では、「スクラッチ・ジュニア」や「ビスケット」といった幼稚園児でもできるプログラミング言語も増えています。幼稚園児でもできる、ということはこれまでやったことのない親御さんも一緒に始められる、ということなんですよ。子どもが学びたい意欲を見せたら、ぜひ親子でチャレンジしてみてほしいです。