JR東日本は19日、「只見線(会津川口~只見間)の鉄道復旧に関する基本合意書及び覚書」の締結について発表した。長期間不通となっている只見線会津川口~只見間に関して、福島県と会津17市町村からの要請にもとづき、上下分離方式による鉄道復旧が進められる。営業運転再開時期は復旧工事の進捗状況などを踏まえ、設定するとのこと。
只見線は2011年7月新潟・福島豪雨で被災し、運休区間の会津川口~只見間では現在、バスによる代行輸送が行われている。同区間の鉄道復旧に関して、「本年3月31日に福島県知事より要請書をお受けしました」「その後、上下分離方式とした場合の枠組み等について福島県と協議を進めてまいりました」とJR東日本。6月19日に協議がまとまり、福島県(福島県および会津17市町村を代表)とJR東日本の間で基本合意書等が締結された。
会津川口~只見間の鉄道復旧にあたり、鉄道施設等の復旧工事はJR東日本が行い、工事費用の3分の2を福島県、3分の1をJR東日本が負担する。復旧工事の施行については、福島県とJR東日本が別途協定を締結するという。営業運転再開までに、福島県は鉄道事業法に定める「第三種鉄道事業者」、JR東日本は「第二種鉄道事業者」の許可をそれぞれ国土交通大臣から取得し、JR東日本は復旧した鉄道施設等を福島県に無償で譲渡する。
運休区間の営業運転再開後、福島県は第三種鉄道事業者として鉄道施設等を保有。災害復旧や資本的支出を要する場合も含め、鉄道施設等に関する費用は福島県が負担する。JR東日本は自社保有の車両を用いて列車の運行を実施。運行本数は被災前の1日3往復を基本とする。なお、現行の代行バスは列車での営業運転再開に合わせ、運行終了となる。
鉄道施設等の使用料に関して「福島県は、JR東日本に使用料の請求を行うが、JR東日本が使用料を支払うことにより、運休区間の収支に欠損が生じないよう減免」、維持管理に関して「福島県からJR東日本に維持管理に関わる業務の委託要請があった場合は、業務内容等について別途協議」するとのこと。会津川口~只見間も含め、只見線全線が厳しい利用状況にあることから、持続可能な運営に向け、福島県・JR東日本ともに主体的に利用促進を図るとしている。基本合意書等の締結を受け、「関係者の皆さまと協力して鉄道復旧を進めてまいります」とJR東日本は発表している。