西日本鉄道は12日、西鉄初となる本格的な観光列車を導入すると発表した。「LOCAL to TRAIN ~町を繋いできたレールは人をつなぐ時代へ~」をコンセプトに、既存車両を改造し、沿線地域の素材を用いた内装や家具で"地域"を感じられる列車(空間)をめざす。2018年度末から運行開始し、天神大牟田線での運行を予定している。

西鉄天神大牟田線・大宰府線では現在、内外装にフルラッピングを施した8000形による大宰府観光列車「旅人」・柳川観光列車「水都」が運行中

新型観光列車のコンセプトには「まちの資源・魅力を乗せ、人と人、人とモノ、人と体験など、様々なものをつないでいきたいとの想い」が込められた。天神大牟田線沿線は代表的な観光地である大宰府・柳川をはじめ、地域の産業と結び付いた景観、歴史的建築物や町並みなど、数多くの地域資源があり、新型観光列車を通じて観光資源や魅力を発掘・発信して「沿線地域の活性化・価値向上につなげていきたい」とのこと。

全体プロデュースを担当するのは、飲食などのオペレーション事業やブランディングプロデュース事業に取り組むトランジットジェネラルオフィス。同社代表取締役社長の中村貞裕氏は「東京と違って、福岡はアジアにも目が向いていると感じます。今回の列車でも、世界初の体験を提供する予定です。日本に留まらず、世界に向けて西鉄の名前を発信していきましょう」とコメントしている。車両デザインはインテリアのデザインや家具の販売、カフェ運営などを手がけるランドスケーププロダクツが担当する。

既存車両を改造した観光列車の車内は沿線地域の素材を使用し、著名料理家・人気店シェフ監修による沿線の食材を生かした温かい料理を提供する予定。食事と沿線風景をゆっくり楽しめる運行ダイヤとした上で、「地域の方、観光客の方、どなたでもご利用いただきやすい価格に設定予定」だという。新型観光列車のメインターゲットとして、「時代の変化に敏感で自分流に楽しみ広げる『クリエイト型』」「堅実で社交的、程よい新しさを好む『安定型』」を挙げている。

西鉄天神大牟田線の新型観光列車は2018年度末の運行開始に向け、運行ダイヤ・料金や地域と連携したサービスなど検討を進めていく。運行開始までのスケジュールとして、今年度は車両設計を行い、車両イメージやネーミングを発表予定。2018年度に車両改造を進め、料理・運行ダイヤ・料金の発表や車両お披露目を行う予定としている。