勝手に情報が入ってくる状態をつくる

さて、ここまでは物件を探すときのスタンスやマインドの話、ここからは、さまざまな「ツール」の使い方についてご説明しましょう。不動産仲介サイトにしろ、リアルの不動産屋にしろ、それぞれ得意分野がありますから、特徴を理解したうえで使いこなすことが必要です。

たとえば、大手ポータルサイトの特徴は、物件数が圧倒的に多いということ。1つひとつ見ていては時間がいくらあっても足りないので、自分に合った情報が勝手に入ってくる状態をつくることがポイントです。

物件数が圧倒的にお多い大手ポータルサイトでは、お知らせ機能を活用しましょう(イラストはイメージ)

最近は、登録した条件に合致した物件が見つかるとお知らせしてくれる機能があるので、それを活用しましょう。実際かなり精度は高く、これだけで街の不動産屋とそれほど変わらないレベルの情報を手に入れることができます。

物件との偶然の出会いを楽しむ。

僕らのようなセレクト系の不動産サイトで探すときは、予算と広さだけ決めたら、あとはできるだけニュートラルな視点で見てほしいと思っています。東横線で探していたのに、気づいたら高円寺に住んでいた。そんな偶然の出会いを楽しんでもらいたいので、R不動産では、あえて検索機能を弱くしているくらいです。

もし、住みたいエリアや路線が決まっているのなら、大手ポータルサイトと地元業者を組み合わせるのがいいでしょう。不動産屋は基本的に、オーナーから預かった物件は自分のところで決めたいもの。それゆえ、エリアに特化した地元業者には、ポータルサイトには載っていないお宝が眠っていることもあるのです。

人気の「谷根千」ですが、特に根津エリアの物件は足で探すことが大事

その極端な例が、人気エリア「谷根千」の根津。古い街なので、不動産業者とオーナーの付き合いは先代から、ということが多く、ネットにいい物件が転がっていることは極めてまれ。情報は不動産屋に貼られた紙でしか流通していないので、「根津(で好きな物件)に住みたければ、まず根津に住め」なんて言われるほど。こうなると、もはや足で探すしかありません。

まだ見ぬ恋人を待つな!

最後に、一番残念なのは「そもそもないものを待っていて決められない」というケース。たとえば、ファミリータイプの分譲マンションはほとんど存在しないエリアなのに、それをずっと探しているというパターンです。まだ見ぬ運命の恋人を待っているけれど、まだ恋人は生まれてすらいなかった、という悲劇(笑)。

もし、中古マンションを買いたいと思っているのなら、希望エリアの地図をプリントして、そこに分譲マンションをプロットしてみましょう。実際に買える可能性があるのは何棟で、ファミリータイプの間取りがあるのはこことここ、という風に。すると、この予算で買える・買えないということがわかって、ムダな時間が省けるはず。

売買物件の場合、地域の営業マンが未公開情報を握っていることも多いので、地元の不動産屋に行ってアンケートを書くことも重要です。不動産屋をその気にさせるアンケートの書き方、なんてマニアックな話もあるのですが、長くなりそうなので、それはまたの機会に。

イラスト: いらすとや

東京R不動産

東京R不動産は、新しい視点で不動産を発見し、紹介していくサイトです。
人はそれぞれに、違ったこだわりや好みを持っていると思います。
一風変わった物件も、人によっては、それが宝物のような空間かもしれないのです。

私たちは日々、そんな物件を膨大な不動産市場の中から丹念に探し出して、サイト上で皆さんにご紹介していきます。
普通の不動産紹介では拾いきれないような、物件の隠れた魅力を掘りおこします。

このサイトは不動産のセレクトショップであり、同時にまったく新しいタイプの不動産メディアなのです。

聞き手・ライター: 井上健太郎

1976年東京生まれ。大学卒業後、単行本のプロデュース・編集を手がけるオフィス「ブルー・オレンジ・スタジアム」を経てフリーランスに。2012年、ステキ面白コンテンツカンパニー「リライトw(ダブリュー)」を共同で設立、役職はCEO(Chief Editorial Officer)。現在、書籍、雑誌、ウェブ、広告、フリーマガジンなど、ジャンルを問わず日々編集&執筆中。これまで関わった書籍は、100冊以上150冊未満。