2016年11月25日(金)より全3章完結、各章2週間限定で劇場公開中の『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』だが、12月3日(土)にHMV&BOOKS TOKYOにて、本作の第2章の劇場公開を記念したイベント「『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』復刊ドットコム イベント」が実施された。
イベントには本作の主人公・島村ジョー役の河本啓佑と、柿本広大監督が登壇。トークイベント時には、現在公開中の第1章、第2章の見所に始まり、12月9日(金)の公開を控える第3章の見所まで、本作のシリーズを通しての魅力がたっぷりと語られた。ここでは、河本啓佑と柿本監督によって語られたメッセージを紹介しよう。
――本作の第1・2章の見所について
河本啓佑 まずは映像がフル3DCGの映像で、ゼロゼロナンバーサイボーグたちが縦横無尽に駆け巡るところが、圧倒的な魅力です。加速装置を使って動き回るシーンが多く、バトルの爽快感が魅力的だなと思います。また、2Dアニメのキャラクターの魅力を残しつつも3DCGになっているという、不思議な感じになっています。これまでの過去の作品のことも回想シーンなどで丁寧に描かれているので、これまでのファンの方はもちろん、この作品で「サイボーグ009」作品を初めて見る方も、とてもわかりやすい作品になっています。
柿本監督 セルで作られるアニメは1カット1カットが手描きで作れるのですが、今回の3DCGは今までのアニメーションとは少し異なり、実写に近い考え方のものになっていて、光の強さなどが全て計算されているので、他ではあまり見かけないものになっています。本作のアニメーション制作のO.L.M.Digitalさんはフォトリアルの作品が得意だったのですが、そこに齋藤将嗣さんのキャラクターデザインが入ることでただのアニメでも、ただのフォトリアルでもない作品に仕上がりました。
――ラスボス・エンペラーを演じる井上和彦との共演について
河本啓佑 緊張感が半端なく、心臓が飛び出そうでした! 別の作品で共演させて頂いたことはあったのですが、やはり「サイボーグ009」という作品で島村ジョー役をさせて頂くという時は、緊張しました。でも井上さんはとても優しい方で「37年後には、君が今の僕の立ち位置にいるかもしれないから」と優しさに溢れた返しをして頂けたので少しリラックスして収録には臨めました。お芝居に入るとラスボスという立ち位置ではありますが、優しく現場の空気作りをしてくださったので、余計なことを考えずにジョー役に挑めました。
――キャスティングでこだわった点について
柿本監督 今までの「サイボーグ009」を踏襲しつつ、新しいオリジナルストーリーになるので、フレッシュさと、これまでの009が抱えていたナイーブさを持った声優さんがいいと思っていました。河本さんは勇気がある声を出されて、叫ぶこともできるのですが、普段の会話の中で声の奥に優しさやナイーブさがあるので009に選びました。004のハインリヒなどは現場に日野聡さんのファンがいて「ぜひ日野さんの004が聞きたい」というところから始まりました。ただ基本的には新しい「サイボーグ009」を盛りたててくれるゼロゼロナンバーサイボーグたちで構成していきました。井上さんに関しては、何とか井上和彦さんとお願いしようと頑張りました。
――演じる上での心構えについて
河本啓佑 これまでの映像作品は全て観ました。その上で共通している部分は引き継がせていただき、地に足をつけて、僕にしか出せないものを出してジョーになりきりました。
――原作で思い入れのある場面
柿本監督 0013というあまり話したりするのは得意ではないけれど、ゼロゼロナンバーサイボーグたちの少しハイクラスに位置するサイボーグと、運命は同じなのに戦わなくてはいけないという悲劇が好きでした。009は0013のことが大好きで、本当に戦いたくないと思っているのに、戦わなくてはならないというシーンが好きでした。
河本啓佑 ヨミ編のラストです。魔神像を爆破した後、ジョーとジェットが一緒に宇宙空間から地球に落下していくシーンはどうしようもなく心に残ります。あそこで泣いているフランソワーズに対してハインリヒが「君はジョーのことが好きだったのかい」と尋ねるシーンなど、良いシーンが沢山あります。アニメでジョーが加速装置が故障して、加速した状態でみんなが止まった状態で過ごすシーンなども、ジョーがこれまですごく頑張って戦ってきたのにこんな孤独を味わうなんて、と印象に残りました。
――フランソワーズとカタリーナ、どっちが好み?
河本啓佑 難しい質問ですが、カタリーナは国連軍ということもあり感情が表に出ないので、そういった意味でもフランソワーズの方が良いかもしれないです。優しくて明るく接してくれる人が好きなので。もちろんカタリーナも素敵ですが、このふたりから選ぶのはとても難しいです。今後第2章、第3章を観ていただくと、僕が悩む気持ちをわかってもらえると思います。
柿本監督 僕はカタリーナが好きです。003はジョーが大好きで、ジョーのことしか見ていないのですが、カタリーナはサバサバしていて好きです。僕の奥さんもサバサバしていて、言うべき事はぐさっと言うタイプなので、近いと思います。
――第3章の見所について
河本啓佑 第2章は加速装置の進化した姿が見られて、その謎が大きなテーマになっているので、その答えを第3章で見て頂けます。これまで人間に戻ることは叶わないと思っていたジョーたちですが、第2章で人間の感覚を少し取り戻すところもあり、そこでも葛藤があるので、ぜひそこも楽しんで頂きたいです。
柿本監督 本作の根底のテーマに置いている、ジョーたちが持っている「自分たちがサイボーグにされてしまった」という悲劇の中で、どういう気持ちになっていくかというところをスタッフ一同で掘り下げていきました。また加速装置をリアルに突き詰めていくとどうなるのか、加速装置の限界を超えた先に何があるのかを、009たちの感情方面も踏まえた上で作りました。
――締めの一言
河本啓佑 第2章では絶対的な正解の答えがない、それを考え続けなければいけないということが描かれていますが、第3章ではエンペラーとの対決とその先にゼロゼロナンバーサイボーグたちがどういった答えを出すのかが描かれています。第3章まで全て終わってエンドクレジットが始まると不意に涙が流れ出してしまいました。本当にキャスト陣も制作陣も「サイボーグ009」が大好きなんだなと、伝わってくる作品になりました。「サイボーグ009」の魅力に取り憑かれて、その熱意を込めて、作った作品です。石ノ森章太郎先生の原作からずっと続く素敵な作品なので、ぜひとも楽しんで頂きたいです。
柿本監督 本作はプレスコという技法で作っており、まっさらな状態から声優さんが声を吹き込むところから始まった作品なので、そういった意味でも声優の方々の思い入れは強いと思います。声優さんが先に魂を込めてくださったあので現場の絵も何とかそれに付いていこうと引っ張られて作られた作品です。キャストの方、スタッフの皆さんひとりひとりが一挙手一投足丹念に心を込めて作っていますし、根底にあるのは石ノ森章太郎先生の原作の作品と、背骨に当たるキャラクターや世界観を僕らが読み込み、僕らの支柱になるのかを考えつつ、これまでの50年の映像作品を作った方々を努力も無駄にしないように作りました。本作全3章と共にこれから作られる「サイボーグ009」の映像作品をご覧頂きたいと思います。
『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』は、2016年11月25日(金)より、各章2週間限定劇場公開。第1章は12月8日(木)まで、第2章は12月15日(木)まで公開中で、第3章は12月9日(金)~12月22日(木)公開予定(配給:東宝映像事業部)。上映館などの詳細は公式サイトにて。
(C)2016「CYBORG009」製作委員会