Peach Aviationは11月18日、エアバスのA320neo(new engine option)導入を決定したことを発表。10機の購入契約を締結し、初号機は2019年夏までに受領を予定している。ピーチの井上慎一CEOは、「A320neoは極めて優れたコスト効率を備えている機材であり、ピーチにとって更なる高い企業努力をもたらす。これからの事業展開において、非常に重要な役割を担う名機」と語った。

左から、エアバスのファブリス・ブレジエCEO、Peach Aviationの井上慎一CEO

機材更新と事業拡大を担うA320neo

A320neoを発注するのは、日本のLCCとして初となる。ピーチは2019年度第1四半期にA320neoの初号機受領を予定しており、以降、約2年間で計10機の受領を予定。同機では収容座席数を増加させるオプションも選べるが、今回は装備座席数188席を予定している。

2019年度第1四半期にA320neoの初号機を受領

ピーチは2020年までに35機体制を構想

ピーチが現在運航している機材は全て新造機であり、現在使用しているA320ceo18機は2019年より順次、A320neoに更新していく。今回、リースではなく購入を選んだ理由としては、「メリットのあるシナリオが購入であったため」としており、どのような形態での購入になるかは、今後検討していくという。

また、A320ceoに関しても3機の購入契約も締結。今回のA320ceo発注は事業拡大を目的としたもので、2018年度中に受領を予定している。契約したA320ceoの装備座席数は180席であり、エンジンはCFM56-5B4となる。

A320ファミリーに関して井上CEOは、「世界中で7,000機以上が運用されており、その経済性・快適性・信頼性については折り紙つきの名機。中でもA320neoはA320ファミリーの中で最新機であり、極めて優れたコスト効率を備えている機材。今後、ますます熾烈を極める日本・アジアの航空マーケットにおいて、経営の効率化を実現しながら事業を続けていくことが極めて重要であり、このA320neoはピーチにとって更なる高い企業努力をもたらす」と述べた。

ピーチの成功が最高のマーケティング

A320ファミリーはこれまでに1万2,800機以上の受注を獲得し、約400社の顧客に7,250機以上を引き渡しているベストセラー単通路型機。エコノミークラスにおいて標準18インチの快適な座席を装備していることに加え、サイズの異なる4機種(A318、A319、A320、A321)で構成されており、100席から240席を設定することができる。エアバスのブレジエCEOも、「ローコスト=ロークオリティーにはならない快適性を備えている」と述べ、競合する機材との違いをアピールした。

日本市場におけるエアバスのシェアは、ここ数年間の内に30%へと拡大している

2010年12月にローンチされたA320neoファミリーは、新型エンジン(CFMインターナショナル社製「LEAP-1A」またはプラット・アンド・ホイットニー社製「PurePower PW1100G」)を搭載。大型のウイングチップである「シャークレット」も取り付けられている。これにより、初号機の商業運航開始時から最大15%燃費を削減、客室の改良とさらなるエンジン効率の改善によって、2020年までに20%の燃費削減を実現する。環境面においても、年間1機当たりCO2排出を5,000t削減し、従来機と比較して騒音をおよそ50%抑える。

加えて、A320neoは収容座席数を増加させるオプションを提供。新世代のスリムな座席の採用や、機体後部に化粧室とギャレー配置する「Space-Flex」、新しいドアの配置と客室床スペースを効率的な活用を最適化する「Smart-Lav」「Cabin-Flex」なども選べる。

ブレジエCEOは、「世界的に見て日本の航空会社は、質やサービス、信頼性などに対して厳しい基準が設けられていると認識しているが、その中でも日本市場におけるエアバスのシェアは着実に拡大しており、ここ数年間の内に30%に至っている。2012年にA320ceoの3機リースで始まったピーチが現在こうして成功していることは、エアバスが競争力のある機材を提供できているという証拠でもあり、エアバスにとっても最高のマーケティングになる」と語った。

契約書にサインを交わす

2020年までに35機、ゆくゆくは100機体制へ

ピーチは現在、18機の機材で国内線14路線/国際線12路線に就航。1日あたり90便以上を運航している。2017年度には仙台空港、2018年度には新千歳空港の拠点化を予定。ピーチは現状、4時間で飛べるエリアで国内・国際線を展開しているが、A320neoであれば4時間以上のエリアを視野に入れることもできる。その点に関して井上CEOは、「コスト効率に影響をおよばさない限りで、総合的に判断する必要がある。ただ現在は、現状の短距離路線での展開を考えている」と述べた。

ピーチは現在、A320ceoを18機導入している

ピーチは今後、2020年までに35機以上、ゆくゆくは100機以上まで拡大することを構想。100機体制になった場合の機材構成に関しては、「いつぐらいに100機体制にするかは定めておらず、外部環境の変化を踏まえた上で一番パフォーマンスがいいフリート構成を考える必要がある」として、今回は明言を避けた。