赤ちゃんのインフルエンザ対策で気をつけたいこと

昨年に比べ、流行が早まっているインフルエンザ。国立感染症研究所によれば、2016年10月24~30日の期間の患者数は、2015年の同時期に比べ4.7倍に増えているそうです。産前・産後の健康管理は人一倍気をつかうもの。子どもへの影響を考えると、プレママや出産間もないママたちは特に注意したいですね。

今回は、産前・産後のインフルエンザ予防対策や、かかってしまった場合、気をつけたいことについて、広島市立広島市民病院の小児科医、竹中美恵子先生に聞きました。


Q.妊婦がインフルエンザに感染すると、どのような危険がありますか?

インフルエンザにかかってしまうと、子宮が伸縮しやすくなったり、子宮口が大きくなったりするので、早産のリスクが高まります。また、症状自体も重症化しやすいので、予防対策は必須となります。

Q.どんな対策ができますか?

予防接種を受けましょう。インフルエンザワクチンについては、妊娠中でも接種が可能です。また、手洗いうがいを徹底し、人が多く集まるような場所に出掛けるのは、控えるようにしたほうが無難です。

Q.かかってしまった場合にできることはありますか?

もしかかってしまっても、感染後、48時間以内にタミフルやリレンザなどの薬を内服しておけば、重症化するリスクを下げることができます。

Q.産後に母乳を与えている期間、インフルエンザワクチンの接種や、薬の服用は可能ですか?

予防接種も、薬の服用も、どちらも問題ありません。母乳に悪影響が出ることもありません。ですから母乳育児をされている場合、母乳を与え続けるか、赤ちゃんへの感染が気になる場合は、搾乳するようにしましょう。1日でも授乳を休んでしまうと、かえってそれが原因で、乳腺炎を併発してしまうことがあります。

これからのシーズンは、インフルエンザに限らず、ノロウイルスやロタウイルスなど、感染症の流行が始まります。妊娠中の方、産後間もない母子ともに、健康管理には十分気をつけていただきたいと思います。

※写真と本文は関係ありません

竹中美恵子先生

小児科医、小児慢性特定疾患指定医、難病指定医。
アナウンサーになりたいと将来の夢を描いていた矢先に、小児科医であった最愛の祖父を亡くし、医師を志す。2009年、金沢医科大学医学部医学科を卒業。以後、広島市立広島市民病院小児科などで勤務し、現在に至る。1児の母でもある。
日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属。日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得
メディア出演多数。2014年日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加する「En女医会」に所属。ボランティア活動を通じて、女性として医師としての社会貢献を行っている