JR北海道は14日、一連の台風による被災箇所の復旧見込みについて発表した。北海道では8月20日以降、大雨や連続して上陸した台風の影響により、道内の各路線で橋りょう流失・路盤流出などの被害が発生。とくに根室本線幾寅~芽室間・石勝線トマム~新得間の損壊が著しく、現時点で復旧見込みは未定とされている。
トマム~芽室間は札幌~帯広・釧路間の特急列車も運行されるルートだが、一連の台風で下新得川橋りょう(新得駅構内)・第1佐幌川橋りょう(新得~十勝清水間)・清水川橋りょう(十勝清水~羽帯間)が流失したほか、土砂流入・線路流出・護岸崩壊など、大きな損壊だけでも12カ所あり、現在は被災状況の調査を進め、復旧工事に着手しているところだという。復旧時期については「不確定要素が大きく、申し上げられる段階にありません」「少なくとも11月末まで運転再開は困難な状況です」と説明している。
同区間の復旧作業に関して、「当社だけで再建できる橋脚の再建など、河川の使用が認められ、重機のアプローチ道路が確保でき、今後台風などによる工事中止がなければ、概ね3ヶ月くらいを目標に復旧したい」「河川管理者及び砂防管理者が今回の被災を受けて河川の改修を行う場合、改修内容が定まった上で橋梁や橋台の形状を決定します」「橋梁の形状が決定し、土木の工事が完成した上で信号制御システムなどの工事に進みます」とJR北海道。関係箇所との連携・協議を進め、少しでも早い復旧をめざすとしている。
石北本線上川~白滝間、根室本線富良野~東鹿越間は10月中に運転再開へ
根室本線幾寅~新得間も設備の損壊が著しく、山間部を走る区間で線路への取付け道路もないところが多く、復旧作業に多大な困難をともなうことから復旧見込みは未定とされた。根室本線はその他、富良野~幾寅間も運転見合わせに。東鹿越~新得間では、安全な運転や踏切を制御する信号システムも壊滅的に損壊したとのこと。
富良野~東鹿越間は10月中の運転再開をめざすことになった。同区間では釧路運輸車両所の車両も運用されていたが、現在運転見合わせとなっている釧網本線が9月16日午後までに全線で運転再開し、石北本線上川~白滝間も復旧工事が順調が進み、10月上旬に応急復旧による運転再開ができる見込みとなったことから、10月上旬以降に釧路の車両を富良野~東鹿越間へ回送した上で、試運転・訓練運転などを進めていくという。
石勝線・根室本線では、一連の台風被害の影響で札幌~帯広・釧路間の特急「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」は全列車運休となり、代わって札幌~トマム間で臨時特急列車、トマム~帯広間で代行バス、帯広~釧路間で臨時快速列車を運行。札幌~網走間の特急「オホーツク」は、石北本線が運転再開できる10月上旬頃まで全列車運休となる。石北本線は上川~遠軽間でバス代行を実施。根室本線・石勝線はトマム~帯広間に他に富良野~幾寅間・新得~芽室間でも、学生の通学利便確保を目的にバス代行を行っている。
日高本線、運転見合わせの鵡川~様似間「一段と大きく被災」
日高本線苫小牧~鵡川間は一連の台風で通信ケーブルが損傷し、運行管理システムが使用不能となって運転を見合わせていたが、現在はケーブルの復旧作業中とのこと。ケーブルが復旧した後に試運転などを行い、今週末の運転再開をめざす。
昨年から列車の運転を見合わせている鵡川~様似間は今回、「従来より一段と大きく被災いたしました」とJR北海道。復旧費用負担の前提となる「持続的に維持できる仕組みの構築」に関して、JR日高線沿線自治体協議会にて引き続き協議を行うとしている。